【カルロスゴーン被告人保釈?勾留延長請求却下?】カルロスゴーン氏を巡るニュースを解説しました!
かなり異例の判断がなされました
カルロスゴーン氏について、東京地裁は
検察官が請求していた勾留延長請求を却下しました
この事案でのこの判断は
国際的な圧力に屈したか
裁判官のスタンドプレーとしか考えられないほど異例だと思います
検察庁も別な犯罪での再逮捕などを検討しているはずです
この勾留延長請求の却下と
明日以降に予想される保釈との違いについて
簡単に解説させていただきます
【逮捕後の流れ】
逮捕〜勾留〜起訴〜起訴後勾留という流れを経ることになります
順番に解説します
★逮捕
まず犯罪の嫌疑があって
捜査のために
被疑者の身柄拘束をしなければならないかを
判断するのが逮捕です
逮捕状を発布するのは裁判官です
期間はMax72時間(3日)です
★勾留
そして逮捕の期間中に
捜査のために被疑者の身柄拘束をしなければならないと検察官が判断した場合
検察官は裁判所に対して勾留請求をします
この勾留請求が相当だと裁判官が判断した場合
裁判官は勾留決定を出します
勾留はMax10日です
ほぼMaxで勾留決定がなされます
報道などで「この被疑者の身柄拘束をする検察庁はおかしい!!」という表現を見ることがありますが
身柄拘束を認めているのは裁判官です
この10日間の勾留期間に検察官ら捜査機関は
被疑者を起訴するための証拠収集をします
被疑者の取り調べも行います
そして起訴するに十分な証拠があるか
起訴することが相当な事案かの判断をします
★勾留延長
もっとも事案が複雑であれば
たった10日では証拠が集まりきらないことがあります
DNA鑑定や画像解析のような科捜研による捜査には時間がかかりますし
目撃者の多い時間なら、目撃者からの事情聴取をしなければなりません
大事な証人なら複数回事情聴取をすることもあります
特捜部事案なら、捜査資料の量がハンパないことになります
そんなこんなで10日じゃ足りんですよ、助けて裁判官!
となった場合
検察官は勾留期間の延長を求めることができます
これが勾留延長請求です
今回問題になっているのがこれです
この勾留延長請求に対して
裁判官は勾留をさらに10日延長する勾留延長決定をすることができます
(内乱罪外患罪みたいな特殊な犯罪だけさらに5日延長できます)
★終局処分
そして逮捕勾留トータルMAX23日を経て
検察官が
被疑者を正式裁判にかけることにするか(起訴)
簡単な裁判で罰金にするか(略式起訴)
起訴しないか(不起訴)
とりあえずペンディングにして釈放するか(処分保留釈放)
のいずれかを判断することになります
★起訴後勾留
そして起訴と同時に検察官は
改めて勾留請求をします
これが起訴後勾留です
これはMAX2ヶ月です
★再逮捕
一方、さらに捜査しなければならない被疑事実があれば再逮捕をして
また23日間が始まります
★保釈
起訴されたあとの起訴後勾留では
保釈金という人質を預ける条件での
釈放が認められます
これが保釈です
弁護人が保釈請求をして
裁判官が検察官の意見を聞いた上で
保釈決定をすることになります
【裁判官の決定に対する検察官弁護人の攻防】
警察検察のする逮捕状の請求
検察官の勾留請求
検察官の勾留延長請求
弁護人の保釈請求
これらに対して裁判官は認める認めないの判断を
自由に行うことができます
とはいえ、逮捕状請求、勾留請求、勾留延長請求はほとんど認められます
重大な事件、証拠関係の多い事件、複雑な事件は
完全スルーで認められます
認められないことになれば
弁護士業界では軽く事件になります
この中でも特に勾留延長に関しては
勾留の必要性が認められた前提での期間延長なので
ほぼスルーです
それなのに
今回は金融商品取引法という複雑な証拠関係になりうる事件で
しかも否認事件での
基本スルーの勾留延長請求が却下されたのです
事件です、これは
これらの勾留請求や保釈請求などを
裁判官が認めてくれなかった場合
検察官と弁護人は裁判官の決定に対して不服があるとして不服申立てをすることができます
これが準抗告の申立です
この準抗告は裁判所に申し立てますが
通常は別な裁判官3人が
裁判官の判断が適切だったかを判断します
そして、裁判官の判断が不適切として準抗告を認めた場合
勾留を認めた判断
勾留延長を認めなかった判断
保釈を認めなかった判断
が覆されることになります
【カルロスゴーン氏を巡る今後の展開】
カルロスゴーン氏に対しては
12月10日からの起訴後勾留に加えて
再逮捕による勾留がなされていました
1人に対して理論的に二つの勾留がなされてたことになります
そして今日、勾留延長請求が却下されました
これにより後者の再逮捕による勾留が解かれることになりました
証拠関係が1件目の起訴分と重複していることや
カルロスゴーン氏が事実関係を認めていること
(弁護側の戦略は事実関係ではなく法律解釈とのこと)
などが根拠のようです
このロジックで勾留延長が却下されるなら
自分の案件も認められるべきだろ
と感じた弁護士はたくさんいると思います
本当に外圧に屈したか
スタンドプレーだとしか思えません…
この勾留延長却下に対して検察官は準抗告をしているものと思います
さらに検察庁は別罪での再逮捕・再勾留も検討しているかもしれません
★保釈請求・保釈保証金
一方、弁護人は
残っている勾留が保釈の認められる起訴後の勾留なので
直ちに保釈請求をすると思います
この保釈請求に対しては
検察官は徹底抗戦するでしょう
保釈自体に対してがっつり反対意見を出して
しかも保釈決定が出たら準抗告をするでしょう
保釈が認められる場合
注目は保釈保証金です
保釈保証金は
「逃げたらこのお金取り上げるよ」
という人質です
ですので、事案(逃げるほどではない軽い事案か、重罰が予想される事案か)や被告人の資産状況などによって
金額設定がなされます
過去の高額保釈金は以下のとおりです
事案やカルロスゴーン氏の資産状況を考えると
10億円を超える保釈保証金が設定される可能性は高いと思います
カルロスゴーン氏の釈放を巡る争いは
しばらく続くはずです
そしてここ数日が勝負
検察庁は10日後に予定していたであろう別罪での再逮捕を仕掛けてくるかもしれません
弁護人には釈放に向けて頑張ってもらいたいです!
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