【カルロスゴーン氏保釈】高額保釈金はどうやって決まったの?返ってくるの?
ついにカルロスゴーン氏の保釈決定を東京地裁が出しました。
検察官は準抗告(不服申し立てのこと)をすると思いますが
さすがに今回は保釈が維持され、今夜には釈放になるのではないかと思います
今回の注目点は10億円という高額の保釈金
そして、釈放後に記者会見をするか、する場合どのようなことを話すのか
という点だと思います。
カルロスゴーン氏の起訴罪名は
会社法違反(特別背任罪、法定刑は10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれらの併科)
金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載、法定刑は10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれらの併科)
ですが、後者の金融商品取引法違反は、複数年にわたって行われていたという起訴内容だと思うので、「常習性」がある事案と評価されます
そのため、今回は、権利保釈(刑訴法89条)ではなく、
裁判官の裁量によって保釈が認められた裁量保釈(刑訴法90条)のケースなのだと思われます。
詳しくはこちらにhttps://atombengo.com/qa/question5.html
そこで、今回は
①保釈金がどうやって決まるのか
②どういう場合に保釈金が返ってくるのか、また没収されるのか
について簡単にご説明させていただきます。
①保釈保証金はどうやって決まるの?
保釈保証金とは、被告人が保釈される条件として裁判所に納めるお金のことをいいます。
一般的には、特に重大事案でなければ
150~300万円くらいの間の保釈保証金が定められることが多いです
一方、タレントや芸能人の事故や覚せい剤使用の場合などは
300万円~1000万円の間の金額になることが多いです
今回のカルロスゴーン氏は10億円というこれらの比にはならないほどの高額な保釈保証金が定められました
過去にも20億円にも及ぶ保釈保証金が定められたこともありました
ワイドショーを騒がせた有名人の保釈保証金としては
ライブドア事件の堀江貴文氏が3億円
ロッキード事件の田中角栄元首相が2億円
カルロスゴーン氏の共犯のグレゴリーケリー氏が7000万円
小室哲哉氏が3000万円
引用:https://honkawa2.sakura.ne.jp/5210.html
保釈保証金には
被告人の裁判への出頭担保と
逃走を防止
という役割があります。
つまり、
『保釈保証金没収というプレッシャーをかけることで
被告人が逃亡したり、証人を脅したりしないようにする』
というのが保釈保証金の趣旨になります
そのため、
事件の重大性、犯罪での役割、共犯者の有無、被告人の社会的地位
そして被告人の資力などを考慮して裁判所が金額を決定します。
今回のカルロスゴーン氏の事件は、
事件自体としてはまずまず重い部類ですが(懲役10年以下ですので)
それよりも、カルロスゴーン氏の資力を踏まえて10億円という金額が定められたものと思われます
カルロスゴーン氏の保有資産は数千億円ともいわれています
このような方に対して、1000万円の保釈保証金を定めても
「それくらいのお金なら捨てて海外に逃げよう」
という考えになってしまいかねません
それを防止するためにこの金額を定めたのだと思います
もっともこれほどの有名人であれば、そもそも逃亡なんかできっこない
海外に行ったらすぐにバレる
という側面もあるので、実際には保釈保証金没収になることは考えにくいように思います。
②どういう場合に保釈保証金が返ってくるの?没収されるの?
保釈保証金は、
被告人が定められた裁判期日に出頭しなかったり、
被害者・証人などを脅したり
海外逃亡したような場合
には没収される可能性があります。
また保釈にあたっては
保釈の条件が付けられます
・居住地の制限
・特定の人との面会を禁じられる
・特定の場所への立ち入り禁止
など
また海外渡航には裁判所の許可が必要です
これらの条件や許可に従わない場合は保釈保証金が没収される可能性があります
その一方で、裁判終了までこうした問題を起こさなければ、全額返金されます。
カルロスゴーン氏は、日本の弁護士会のタレント3人を弁護人に擁立して
自身の無罪を争うスタンスです
このような状況で、およそ海外逃亡などはしないでしょう。
保釈をした目的は
日常生活に戻ることと、
弁護人と好きな時間に必要なだけ打ち合わせをすること
にあると思います
最後に
カルロスゴーン氏は、早ければ今夜には保釈されてメディアに姿を見せることになるのではないかと思います。
保釈保証金は、
裁判所に現金をもっていく方法と
銀行口座から直接納付する方法があります
10億円ものお金なので、後者の方法で納付するのではないかと思います。
そして、恐らくもう納付の手続をしているのだと思います
まだ裁判は始まったばかりですが
カルロスゴーン氏vs検察庁
というこの裁判に今後も注目していきたいです。