【かんぽ保険の不適切契約が横行】従業員の刑罰と郵便局の深い闇を解説!!
特に田舎の高齢者の方々の信頼が厚い郵便局
その従業員が、保険契約のノルマ達成や
自身の成果のために
契約者を騙すなどしているケースが多数あることが
報道により明らかにされました
かんぽ保険料2・2万件二重払い(西日本新聞)
https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/o/525488/
今回は、保険の外交が
今回のように二重契約を行わせたような場合などの刑罰
郵便局の負うべき法的な責任
そして
郵便局でこのような事件が起こる原因
被害者救済の壁が高いこと
について解説させていただきたいと思います
二重契約・虚偽説明などの刑罰
今回問題とされているのは
『加入済みの古い保険契約を解約して、新しい保険契約に入りましょう』
といいながら、古い契約を6カ月以上解約しないで残し
6か月間、古い契約の保険料と、新しい契約の保険料の二重払いをさせているという図式です
(かんぽの場合、新契約後6カ月以上旧契約が残っていると、
契約切り替えではなく、新規契約とみなされより高い評価・成績が得られることが動機)
これは、契約切り替えをするように偽装して
新契約を締結させ、日本郵便の口座に送金させる(引き落とさせる)ことになるので
詐欺罪(刑法246条、10年以下の懲役 ※ 罰金なし)
が成立する可能性が高いと思われます
また、新しい保険契約をとるために
契約者に不利な重要事項について虚偽を述べていたり
重要な事項を隠していたような場合は
保険業法違反(保険業法300条 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金)
となります
郵便局の負うべき法的な責任
郵便局としては
故意に二重払いをさせた期間の保険料や
新規契約に関する保険料について
契約者の求めがあれば、返金などの対応を取ることになると思われます
法律的には
旧契約の保険料引き落としについては、不法行為に基づく損害賠償請求が考えられ
新契約については、詐欺取消して新契約の保険料の保険料の返金を求める
という対応になるのかなと思われます
そのほかにも保険業法違反(虚偽申告、重要事項の隠匿)がある場合には
保険契約の取り消し・返金対応もしなければならないものと思われます
なお、支払ったお金の清算を超えて
慰謝料請求までするのは、なかなか難しいのではないかと思います
郵便局でこのような事件が起こる原因
郵便局員に騙されるという事態が生じるのは
やはり元親方日の丸、旧国営企業だという点がかなり大きいのだと思います
これは、実際に郵便局員による詐欺事件を複数扱った経験からの実感です
以前、郵便局の担当者に5000万円以上騙し取られたという被害者から依頼を受け
裁判をしたことがあります
被害者は比較的高齢でした
「まさか郵便局の担当者に騙されているとは思わなかった」
「郵便局のあの人がそんなことをするはずがない」
と何度も言っていました
加害者の元従業員は、郵便局の管轄内で、少なくとも5人以上の高齢者を
「保険に入っておきますのでお金を預かります」
「保険を解約して、そのお金で別な契約に加入しておきます」
などといって騙し、総額1億円近いお金を騙し取りました
しかし、詐欺をやる従業員も巧みに騙し
証拠がほぼ残さないかたちで詐欺をしていたため
十分な立証が出来ず、十分な被害回復はなされませんでした
日本郵便側も、「証拠がなければ支払わない」
という四角四面な対応に終始し
しかも、(恐らく)加害者を抱え込んでしまったので、
裁判上では真実は闇の中になりました
日本郵便側は、加害者に対する賠償(求償)請求権を持っているので
『真実を明らかにしたら、日本郵便からあなた(加害者)に対する賠償請求額が上がるぞ』
というある種の脅しが効いてしまうことになります
詐欺が起きやすい土壌
このような詐欺被害が生じるのは
郵便局が
特に田舎の高齢者から
絶対的な信頼を受けているからです
郵便局は、契約者に渉外業務を行う担当従業員を付けます
その担当者は頻繁に契約者宅を訪れます
その契約者が飲食店などをやっていれば
その店に行くなどして物を買ったり、飲食をしたりします
親族が亡くなった場合は葬儀にも出ます
このような付き合いを続けていく結果
郵便局員は契約者のプライベートまでかなり深くまで入り込みます
その結果、資産もほぼ完璧に把握しています
具体的には
契約者(高齢者)の持つ全資産、預貯金状況、子ら家族を含めた保険状況、生活状況、実印の場所
など全て把握しているケースすら少なくありません
このような絶対的な信頼が生じる結果
家族に任せる感覚で、担当者に資産を預ける結果を生みます
僕の担当した件でも
担当者に対して
「印鑑を押しておいて」
「契約書適当に書いておいて」
「郵便局に行ってお金を下ろしてきて」
という信じられないような仕事の依頼までしているケースもありました
この人がやってくれてるから大丈夫という絶大な信頼が
詐欺の温床となります
保険の契約内容と種類がめちゃくちゃ複雑
しかも、保険の内容は複雑でわかりづらすぎます
高齢者には絶対に理解できていないと思います
そして、複数の契約をしているケースが多い
その結果、複雑で多すぎて、弁護士の僕が契約一覧表を見ても
理解するのに相当な時間がかかりました
このような状態なので
・二重契約が行われても
・二重の引き落としがなされていても
・契約説明が不十分でも
・契約しているはずが契約されていなくても
・契約が解約されていても
気付かない結果を生んでしまいます
「あの人が騙すことなんかない」
という絶対的信頼と
資産を担当者が完全管理するという状態が
詐欺を生んでしまいます
これが、郵便局で詐欺が生じる土壌になっていると思います
そしてこれに加えて
過重なノルマが
追い詰められた従業員による
詐欺や保険業法違反を誘発していると思います
同じような事態は
田舎ではJAでも生じている可能性があります
被害者救済の壁は高い
日本郵便は被害者への返金や
切り替え後の契約の解除などを行う予定とのことです
この提案だけをきくとしっかりとした対応のように思われます
しかし被害者の方々が救済されるための壁は
実際はかなり高いのではないかと思います
なぜなら
自分が不適切営業を受けたことの
確実な証拠など残っていないことがほとんどだからです
日本郵便は
被害申告をしてきた人に対して
「いつ」「誰から」「どのような」勧誘を受けたのか明らかにするよう求めるはずです
当然のことながら
その裏付けとなる資料も求めるかもしれません
しかし、特に高齢者の方が
いつ、誰から、どのような不適切営業を受けたのか
しっかりと説明できるケースがどれだけあるでしょうか
その点がはっきりしないケースであれば
被害申告を諦める方も出てくるでしょう
さらに
保険の契約が複数あるため
通帳の取引履歴を見ても
何の保険料が引き落とされているのかよくわからないらない
というケースもかなりあるはず
そうなると
自分が被害に遭っているがどうかの確認すら
困難なケースが相当数にのぼると思います
裏を返すと
郵便局員が自ら
懲戒や刑事罰を覚悟の上
被害者に情報提供するようなレアケース以外は
なかなか救済が図られないのではないかと思います
最後に
被害がこれだけの数字として表に現れるまで
実体に気付かず、また対応を講じてこなかった日本郵便の責任は大きいと思います
今後は行政処分も課されていくことになるはずです
またこの不適正契約という詐欺は
日本郵便による組織的な詐欺といわざるを得ないと思います
18万件という不適切契約の件数は
偶然、各営業担当が、詐欺の方法に気付いた、不適切契約の手法に気付いたという数字ではありません
営業担当者間で、詐欺の手法が共有されていたと考えるべき数字です
そして、当然相当数のクレームも上がってきているはずですから
日本郵便が気付いていなかった、知らなかった
は通らないでしょう
そして、まだまだ表に現れていない保険業法違反、詐欺契約がまだまだあると思われます
今回の記事をきっかけに
多くの方がご自身の契約を見直し
また担当者との距離感についても見直していただきたいと思います
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