【コミケの撮影会でコスプレイヤーが盗撮・監禁被害!?】カメラマンに成立する犯罪と主催者側の法的責任は?
今年8月9日から12日までの間
東京ビッグサイトで開かれた「コミックマーケット96」
その際に行われた撮影イベントの際に
コスプレイヤーの女性が
多くのカメラを持った男性に執拗に囲まれ
身動きが取れなくなったり、
スカートの中を複数回撮影されたという被害状況が
Twitterにアップされ話題になっています
女性は、何度も離れてもらいたいと伝えたのに、周りの男性はこれを無視し、離れなかったようです
https://twitter.com/all1108allall/status/1160963938860728320?s=12
撮影会の場とはいえ、
このような行為は犯罪になる可能性があります
以下、簡単に説明させていただきます
東京都迷惑防止条例違反(盗撮)
今回のコミケが行われたのは東京ビックサイトなので東京都内
したがって、コミケ会場で行われた盗撮行為は
東京都迷惑防止条例違反(盗撮)にあたり
1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります
きわどいコスプレをした撮影会ですし
ローアングルからの撮影もあるわけですから
駅構内などでの盗撮とは前提が異なり
スカートの中が映るような撮影もある程度は許容されているでしょう
しかしながら
スカートの中や股の間にカメラを入れるような撮影が
許容範囲を超えた盗撮にあたることは当然
そこまでいかなくても
撮影会のルールとして過度なローアングルや接写は禁止されていることが多いですから
このルールに違反して撮影がなされる場合は
その撮影行為が盗撮にあたると評価される可能性もあるでしょう
【参考条文】
東京都迷惑防止条例
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行
為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体
を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し
向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる
ような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用
し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
(罰則)
第8条 。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(1) 第5条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者
監禁罪(刑法)
体を押さえつけたり、部屋に閉じ込めるなどしなくても
一定の場所からの移動脱出を困難にすれば、監禁罪に該当します。
屋外で
カメラがあまりに近くて
動いたら壊してしまいそうだから
という精神状態に追い込んで動けなくする行為も
精神的な監禁になり得ます
集団心理もあるでしょうから
撮影がヒートアップして、結果的に監禁状態になった場合は
故意がないということになるでしょうが
例えば
複数人が通じあって
『コスプレイヤーを囲んで動けなくするのに乗じて盗撮をしよう』
などと企んで今回の撮影に至ったのであれば
監禁罪の共犯ということになります
【参考条文】
(逮捕及び監禁)
第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
強制わいせつ罪(刑法)
いうまでもありませんが
撮影に乗じて、コスプレイヤーの身体に触れるような行為は強制わいせつ罪になります
【参考条文】
(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。
撮影会主催者の法的責任は?
今回は主催者などがいるのかどうか不明ですが
主催者側は、盗撮などの犯罪を行っているわけではありません
しかし、主催者側には
イベントを安全に運営する法的義務があり
想定される危害等に関して
危険防止策などを十分に講じていない場合は、
損害賠償などの一定の法的責任を負う場合があります
例えば
コスプレイヤーの身体の安全、盗撮被害の防止、カメラマン同士のトラブルの防止
のためのルールの策定、告知
そして現場での警備等が
適切に行われていない場合は、やはり危害を被ったコスプレイヤーなどから
損害賠償請求を受ける可能性もあります
最後に
コミケという文化
ローアングルを含めた撮影が広く許容される撮影会
人気を取るためにきわどいコスプレに身を包むコスプレイヤー
これらの状況と集団心理が相俟って
今回の被害に至ってしまったのだとは思います
撮影者にはルール遵守が求められますし
撮影会主催者側も
コスプレイヤーの身体の安全、盗撮被害の防止、カメラマン同士のトラブルの防止
に向けた適切な運営が求められているように思います