【「99.9」最終回への予習！】再審についての予備知識
今週末に迫ってしまった「99.9－刑事専門弁護士ーSEASONⅡ」の最終回
楽しみなんですが、99.9ロスにもなってしまいそうな予感も・・・
さて、今回のストーリーは放火殺人事件の「再審」
「再審」という言葉
ニュースなどで耳にすることがあるかもしれませんが、
どういう制度なのか
なにゆえ「開かずの扉」といわれているのか
理解されている方は必ずしも多くないかもしれません
そこで、今回は、
①「再審」という制度についての簡単な説明
をさせていただいたうえ
②（もしかしたらネタバレになるかもしれませんが）ちょこっと似た事案についての情報をシェアさせていただきたいと思います
まず、①「再審」という制度について
簡単に説明しますと
「再審」とは
要は、既に終わった刑事裁判（確定判決）をひっくり返す手続き
のことです
刑事裁判の通常の手続きで、最後まで争う場合
第１審（地方裁判所等）⇒控訴審（高等裁判所）⇒上告審（最高裁判所）
という３段階を経ることになります
今回の「99.9」の被告人は死刑囚
死刑判決の場合、ほぼ確実に控訴・上告はしているはずなので
中島裕翔さんのお父さんも控訴・上告を経て
無罪判決が確定しているはずです
しかし、その確定判決に誤りがある場合や
後に誤りであることを裏付ける新証拠が出てきたような場合に
被告人を救済する手段が必要
それが「再審」なのです
とはいえ、一度、裁判という制度を３度（三審制）も利用しているわけですから、
なんでもかんでも「再審」という制度を使えるとなると
いつまで経っても裁判が終わらないことになりますし
裁判所の機能不全・渋滞を起こしてしまいかねません
そこで「再審」ができる場合は
大きく分けると以下の３つと法律で定められています
・原判決の証拠が偽造又は虚偽であった場合（刑事訴訟法４３５条１～５号）
・関与した裁判官の職務犯罪があった場合（同７号）
・新証拠を発見した場合（同６号）
多くの「再審」事案では
・新証拠を発見した場合（同６号）
すなわち
無罪を言い渡すべき明らかな証拠を
判決確定後に新たに発見したとき（新規性・明白性）
に該当するかどうかが争われます
今回の事件ではおそらく
被告人（中島裕翔さんの父親）が放火をしたという事実を覆すに足りる明白な証拠が
深山弁護士の就任後
新たに発見されたことを根拠に
「再審」請求をする展開なのではないかと思います
なぜそう考えたのかは、②と関連します
②放火殺人『再審』の似た事案があること
いわゆる「東住吉事件」をご存知の方もいらっしゃるかと思います
僕は、今回のストーリーは
実際に起きたこの事案に近いのではないかなと、勝手に予想しています
これは
大阪市東住吉区で住居火災が発生し１１歳の娘が焼死する事件が発生し
娘に１５００万円の生命保険金を掛けていた母親とその内縁の夫が
保険金詐欺目的での殺人を犯したとして逮捕された事件です
この事件の第１審では母親と内縁の夫に無期懲役が下され
高裁も最高裁も上訴を棄却し二人に対する無期懲役が確定しました
しかし、その後、
再審弁護団が行った火災の再現実験などから
再審裁判所は
「放火ではなく自然発火であった可能性が否定できない」
との判断に至り
また、母親や内縁の夫が一度
「ガソリン７リットルを車庫に撒いてライターで火をつけた」
という自白をしていたのですが
この自白についても
「実現可能性が乏しく、客観的状況と整合しない」
との判断に至ったため
裁判所は再審開始決定をしました
そしてその後二人には無罪判決が下されています
なおこの事件では
上告審を行った最高裁判所の担当裁判官（滝井繁男裁判官）は
無罪を確信していたのに
最高裁調査官の妨害に遭うなどして、無罪にすることができなかった
という事情もあったと言われており
なにかと話題になった事件でした
僕は、「99.9」の最終回予告を見て
・家族に対する放火殺人の冤罪再審事件
・再現実験を行っている（片桐はいりさんは、燃焼実験の専門家？）
・担当裁判官への不当な圧力
・事件自体とは関係のない事情がメディアを騒がせる
etcから、この事件をモチーフにしているのかな、と思いました
②のストーリー予想は僕の独り言ですが
（全く的外れだったらすいません）
①の「再審」についての情報は
知っておいた方が「99.9」の最終回をより楽しめると思います
胸のスッとする展開を期待しています！！
「99.9」ロスになりそうです（笑）
abemaTV「有罪率99.9%」の刑事裁判で無罪連発 ”勝訴請負人”弁護士の信念とは https://abematimes.com/posts/3378507
