弁護サービス
交通事故問題
過失相殺のご相談
法律相談
先日、交通事故に遭いました。信号が青に変わったため交差点を左折したのですが少し進んだ所で、突然自転車が車と車の間から飛び出してきたのです。私は慌ててブレーキを踏みましたが、間に合わず、自転車と衝突してしまいました。自転車に乗っていた方は打撲と骨折を負いました。もちろん、前方をよく注視しなかったのは私ですし、私に落ち度があると思いますので、被害者に損害賠償金を支払うつもりでいます。しかしこのケースでは、横断歩道ではない車と車の間から飛び出してきた被害者にも落ち度があると思うのです。被害者側にも落ち度があった場合、加害者が被害者に支払うべき損害賠償額が減少すると聞きました。これはどういうことでしょうか?
弁護士からの回答
交通事故の損害賠償では、「過失相殺」という考え方があります。これは、交通事故の被害者側にも、交通事故の原因となる何らかの事情があった場合に、加害者に賠償させる金額をその事情の割合だけ差し引くという考え方です。
解説
過失相殺とは
交通事故の損害賠償では、「過失相殺」という考え方があります。これは、交通事故の被害者側にも、交通事故の原因となる何らかの事情があった場合に、加害者に賠償させる金額をその事情の割合だけ差し引くという考え方です。「過失」というと、何となく被害者側も悪いというような言い方ですが、法律的には「悪い」という意味ではありません。被害者側にも事故に関わる何らかの事情がある場合に、その事情を考慮して賠償額を決めるという制度ということです。
過失相殺の基準
過失相殺は過失割合に応じてその賠償額を減額する制度ですが、裁判所、弁護士、保険会社は東京地裁民事交通訴訟研究会の認定基準を用いて過失割合を算出しています。この認定基準はあくまでも事故の基本的な過失割合を明確にしたものですので、事故ごとの具体的な事情によって、この基本的な過失割合に対し、さらに加害者側に5~20%程度過失を加算したり、逆に被害者側に加算したりして調整を図り、最終的に適正な過失割合に落ち着くようにしているのです。
加害者側に過失が加算される例
・「速度違反」「飲酒」「合図なし」などの道路交通法違反
・被害者(歩行者)が児童・老人
・事故現場が住宅地・商店街
・著しい注意不足があった場合
被害者側に過失が加算される例
・被害者が横断したのが横断禁止場所だった
・事故が起きたのが夜間
・事故現場が幹線道路(被害者が歩行者の場合)
・著しい注意不足があった場合(被害者側)
弁護士に依頼した場合
過失相殺の算出
事故態様から、事故が認定基準のどのパターンにあてはまるか、過失が加算されるかなどだいたいの基準を説明します。
保険会社と交渉
保険会社が被害者側の要望に応じない場合は、弁護士が代理人として保険会社と交渉します。プロの法律家たる弁護士が代理することで、増額を勝ち取るケースは珍しくありません。裁判での争いになると時間もコストもかかる等のデメリットがありますから、保険会社もその点を考慮に入れて態度を軟化させてくる場合もあります。
当事務所における解決例
⑴ 車両同士の交通事故示談交渉にて、当方に有利な条件で和解を結びました。
警察に調書の開示を求め、調書と相手の主張との矛盾点を指摘し、相手に支払う和解金を減額することができました。
⑵ 交通事故損害賠償請求訴訟にて、当方の主張が認められ、和解金を減額することができました。
相手の主張と、証拠が示す事故の態様の矛盾点を指摘し、和解金を相手が主張する金額よりも大幅に減額することができました。
Q&A
Q 交通事故で怪我をさせてしまった被害者が、治療中、医師の指示に従わなかったため、怪我が悪化しました。この治療費についても賠償しなくてはならないのでしょうか?
A 医師の指示に従わず怪我が悪化した場合の治療費は被害者側の負担となります。過失相殺が適用されるのは、交通事故での過失だけではありません。事故後の治療過程において被害者側に過失があり、それが原因で損害が拡大してしまった場合にも過失相殺が適用されます。