弁護サービス
消費者問題
ワンクリック詐欺のご相談
法律相談
インターネットでアダルトサイトを見ていたところ,「無料」動画という画像があったのでそれをクリックしました。すると,「個人情報取得」などという画面が表れ,さらに,「あなたの個人情報は特定されました。あなたのIPアドレス・・・,あなたのリモートホスト・・・・etc」という表示と共に,「●日以内に,●円を下記口座宛に振り込んでください。期限を過ぎましてもお振り込みが確認出来ない場合は,お客様の個人情報を基に弊社顧問弁護士を通じて法的請求をします。」などと表示されています。どのように対応したらよいでしょうか?
弁護士からの回答
このような手法でお金を振り込ませる詐欺をワンクリック詐欺といい、契約が成立していない可能性が高く、振り込まずに無視をすることで足りる場合が多いですが、個別的事情によりますので、消費者センターや弁護士等に相談することをおすすめします。
解説
ワンクリック詐欺とは
いわゆるワンクリック詐欺とは、ウェブページ上のアダルトサイトや出会い系サイト、勝手に送られた電子メールに記載されているURLなどを1回クリックした際,「入会登録されましたので○日以内に○○円振り込んでください」という様な文字やウェブページを表示させることで、利用者に契約が成立したかのように思わせ、多額の料金を振り込ませる手口の詐欺です。近時では,1回クリックで請求されるケースよりも,複数回クリックさせて請求してくるケースも増加しており,必ずしも「ワンクリック」被害ではありません。かかるケースは,そもそも料金を支払うべき契約が成立していないことが殆どであり,また,仮に成立していたとしても錯誤による無効等を主張できることが多いといえます。
対応方法
① お金は絶対に振り込まない
ワンクリック業者より不正請求をされても,そもそも法的根拠がないことが殆どです。動揺してすぐにお金を振り込んだりせずに,弁護士や消費者センター等しかるべき相談機関へ相談して下さい。仮にお金を振り込んでしまった場合は,直ちに銀行と警察へ連絡した方がよいでしょう。
② ワンクリック業者に連絡しない
上記のような不正請求と共に,「解約したい場合はこちらまでご連絡下さい。」「ご相談はこちらまで」等と連絡先の電話番号やメールアドレス等が記載されていることが多いでしょう。しかし,その様な連絡することにより,かえって不正請求をした業者にあなたと直接連絡を取れる電話番号やメールアドレスを知られることになってしまい,それらの業者より直接電話やメールによって執拗に不正請求がなされることになりかねません。その様な連絡先に連絡せずに,弁護士や消費者センター等しかるべき相談機関へ相談して下さい。
③ ワンクリック業者から連絡がきても相手にしない
こちらから連絡をしてしまい,こちらの連絡先が相手にわかってしまったことで,ワンクリック業者からメールや電話で連絡が来ることがあります。その際には,電話に出たり,メールを返信したりせずに,直ちに弁護士や消費者センター等しかるべき相談機関へ相談して下さい。
④ 郵送で請求書等が届いても,直接対応しない
あなたから住所を教えてしまった等により何らかの方法でワンクリック業者があなたの住所へ郵送で請求をしてくることがあっても,その業者へ連絡したりせずに,弁護士や消費者センター等しかるべき相談機関へ相談して下さい。なお,業者の中には裁判所を使って不正請求をしてくる場合があり,それを放置した結果,欠席裁判等により裁判上の請求が認められてしまうこともあります。もちろん,法的根拠のない請求は,きちんと対応すれば裁判所も認めません。郵送で届いた書類の中に裁判所からの書面があった場合は,直ちに弁護士や消費者センター等しかるべき相談機関へ相談して下さい。
弁護士に依頼した場合
(1)不正請求への対応をアドバイスします
ワンクリック業者の請求は法的根拠がないことが多く,毅然とした対応により被害を避けることができます。ただ,あなたが受けている請求への適切な対応方法は,個別的な事情ごとに異なりますので,法律の専門家へ相談した方がよいでしょう。そこで,弁護士は,あなたが受けた不正請求について,具体的な事情を伺い,適切な対応方法をアドバイスします。
(2)あなたに代わってワンクリック業者に対応します
ワンクリック業者の請求は法的根拠がないことが多く,毅然とした対応により被害を避けることができます。とはいえ,特に業者から直接電話やメールで連絡が来た場合は,恐怖感にさいなまれることもあるでしょう。そこで,弁護士があなたに代わって不正請求をしてくる業者に対応します。
(3)あなたに代わって裁判上の対応を致します
業者によっては,裁判上の請求をしてくることもあります。そうした場合,冷静に法的根拠を確認して対応すれば,業者の請求を退けることができます。もっとも,殆どの被害者は法的知識も裁判の経験もないため,適切な対応ができないこともあります。そこで,弁護士が,あなたに代わって,適切な法的主張・立証により,業者の請求を退ける活動を致します。
当事務所における解決例
(1)アドバイスにより詐欺被害を回避
依頼者は,都内会社へ勤務するサラリーマンで,アダルトサイトを閲覧していたところ,不正請求を受けました。当事務所で,依頼者の状況を丁寧にヒアリングした上で,対応としては一切無視することで足りるというアドバイスを致しました。依頼者はご自分でもネット等でお調べになられていましたが,素人判断では不安であったところ,弁護士の回答を得て,不安を払拭し,平穏な生活に戻ることができました。
Q&A
Q1 無料だと思って「同意」ボタンをクリックしたのですが,ウェブページのわかりにくい場所に実は「利用規定」があり,その「利用規定」には,有料である旨規定されていました。この場合,私は,この「利用規定」に同意したことになるので,業者の請求に必ず応じなければならないのでしょうか?
A 必ずしも「利用規定」に従って業者の請求に応じなければならないわけではありません。安易に請求に応じてお金を支払ったりせずに,弁護士等に速やかにご相談下さい。 インターネット取引は,比較的新しい取引形態ですので,現時点でウェブサイトに掲載された利用規約に従って取引を行う商慣習が成立しているとは言い切れない状況にあります。それゆえ,現時点では,ウェブサイトで取引を行う際に,「利用規定」が明瞭に表示され、かつ取引実行の条件として「利用規定」への同意クリックが必要とされているような場合でなければ,「利用規定」があなたと業者との間の取引契約の内容に取り込まれて拘束力をもつとはいえないと考えられます。
Q2 誤って有料サイトの申し込みボタンをクリックしてしまいました。この場合,業者の請求に必ず応じなければならないのでしょうか?
A 電子契約法第3条によれば,インターネットを介しての取引等においては,消費者が行う電子消費者契約の申込みまたは承諾の意思表示に際し、画面上で、契約の申込みまたは承諾の意思表示を行う意思の有無を確認させる措置がされていない場合には、原則として,錯誤による無効(民法95条本文)が可能です。この確認措置とは,例えば,インターネット上で画像閲覧等の情報提供を有料で受けることの申し込みクリックをした後,さらにその申し込み内容(有料であること等)を確認する画面が表示され,確認ボタンをクリックして申し込みを完了させる場合などです。このような確認画面が表示されなかった場合は,錯誤無効であるとして,業者の請求を拒絶することができます。