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法律相談
街を歩いていて、「絵画を買わないか」との勧誘を受けました。断ったのですが、展覧会に来るだけでもいいと強く言われ、多少興味があったので、展覧会場まで足を運びました。すると、絵画の販売員5、6人に囲まれ、売買契約書にサインするまで帰らせないと脅され、契約書に記入してしまいました。このような場合でも、絵画の代金を支払わなくてはいけないのでしょうか。
弁護士からの回答
契約書や資料をチェックし、契約が有効に成立しているかを確認し、契約が成立していない場合はその旨主張します。契約が成立している場合、クーリング・オフの主張ができないか、契約書の約款による解除権や抗弁権について検討します。さらに、特定商取引法や消費者契約法による取消、中途解約、民法による無効・取消、解除、損害賠償請求の可否なども検討します。 各自治体に消費生活センターが設けられ、無料で相談できますので、一度相談してみましょう。
解説
消費者被害救済に関連する法律
直接、消費者被害救済につながる条文が設けられている法律は、消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法、利息制限法、製造物責任法、金融商品販売法、個人情報保護法です。
これに対し、消費者基本法は、国、地方公共団体及び事業者の消費者に対する責務を定めています。また、貸金業法や保険業法は、貸金業者・保険業者としての責務を定めており、独占禁止法・景品表示法は公正な取引市場を確保するための法律です。これらの法律を消費者被害に役立てるためには、民法の不法行為責任や信義則、公序良俗といった一般条項の解釈にあたって法の精神を盛り込むという論理操作が必要となります。
契約自由の原則
契約は当事者の自由な意思に委ねられており、当事者の意思が合致すれば、原則としてどのような内容の契約でも有効です。民法はこの自由な意思決定を基本において、詐欺や強迫による取消や錯誤のあった場合の無効などを定めています。
対応方法
消費者被害解決手段の検討手順は次のとおりです。
1 契約書や資料をチェックし、契約が有効に成立しているかを確認します。
2 契約が成立している場合、クーリング・オフの主張ができないか、契約書の約款による解除権や抗弁権についても検討します。
3 特定商取引法や消費者契約法による取消、中途解約権の可能性を検討します。
4 民法による無効・取消、解除、損害賠償請求の可否を検討します。
5 暴利行為や社会通念に著しく違反しているような契約の場合、民法の信義則違反や公序良俗違反の主張も検討します。
消費者被害救済のための相談窓口
無料で相談できる窓口として、各市町村に「消費生活センター」が設けられています。消費生活センターは、消費者被害の予防・救済を目的とする行政機関です。住まいのある市町村の消費生活センターに相談することができます。
消費生活センターは、消費者被害の救済にあたり、原則的には事業者に対する指導を通じてあっせん・調停を成立させるという方法をとりますので、業者があっせん・調停に応じなければ、それ以上の救済手段を有しません。
弁護士に依頼した場合
契約解除などを通知する内容証明郵便の送付、交渉
契約解除や契約無効、取消を主張する通知書を作成し、交渉を行います。事業者が返金に応じ、代金の返還を受けられる場合があります。
契約解除や返金を求める訴訟
被害者の代理人として、契約解除や返金を求める訴訟を提起します。事業者が被害者に金銭の支払いを行うよう命じる判決が得られた場合は、事業者の財産を差し押えて、金員の回収を行います。
当事務所における解決例
⑴ 競馬情報に関する消費者被害事件で、事業者に情報料の全額返金を命ずる判決を得ました。
勝ち馬券情報売買に消費者被害事件で、被害者が業者とのやりとりを記録しており、業者の事業所等が特定できたため、訴訟を行い、業者に返金を命ずる判決を得ました。
⑵ 詳細が不明な高額電話利用料請求を受けていたケースで、取引内容を開示するよう業者に求めたところ、業者が債権放棄をして解決に至りました。
ある日突然、自宅に10万円もの電話利用料請求書が届いたという事件です。身に覚えのない債権管理組合なる事業者からの請求で、取引の詳細な内容を開示するよう業者に求めたところ、業者が債権を放棄すると意思表示をしたため、解決に至りました。
Q&A
Q クーリング・オフ制度について教えてください。
A クーリング・オフ制度は、契約締結が有効な取引について、一定の要件を満たした場合に、消費者から一方的に契約を解除できるという制度です。ただし、クーリング・オフ制度は法律に定められた取引に限られており、全ての契約に適用があるわけではありません。また、クーリング・オフを主張できる期間も制限がありますので、注意が必要です。