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途中解約のご相談
法律相談
自宅近くにエステティックサロンが新しくできたので、見学に行ったところ、開店記念で格安だからと勧められ、1回あたり3万円のエステを15回受けられる回数券を15万円で購入しました。購入後、1週間に1回、全部で4回サロンに通いましたが、思ったほど効果が出ません。中途解約できますか?
弁護士からの回答
エステティック契約のような特定継続的役務提供契約は、特定商取引法第48条によってクーリング・オフをすることができます。クーリング・オフ期間を経過してしまった場合でも、契約を将来に向かって解除することができます(同法49条)。
契約を中途解約した場合、ご質問のケースでは、すでに利用した4回分のサービス料金4万円と事業者に認められる損害賠償額1万1000円を除く9万9000円の返還を請求できます。
解説
特定継続的役務提供契約とは
特定継続的役務提供契約とは、一定範囲のサービス契約で、一定の期間、繰り返し提供することを約束している契約をいいます(特定商取引法41条)。具体的に政令で定められており、エステティックサロン、語学学校、学習塾・家庭教師、パソコン教室、結婚情報サービスが特定継続的役務に該当します。
これらのサービス契約は、取引の対象となる役務の内容や取引の成果を客観的に確定することが困難で、誇大な宣伝など不適切な勧誘行為が行われることがあります。消費者が当初期待したものと実際に提供されたものに大きな隔たりが生じることがよくあり、実際にサービスの提供を受けてから、消費者が契約を解除したいと考えることが稀ではありません。転居や病気などにより、契約の解消が必要になることもあります。
さらに、サービス提供が一定期間長期にわたることが多く、契約金額も高額となることから、これらの継続的役務提供契約が規制の対象となっています。
特定継続的役務提供契約に関する規制
特定継続的役務提供契約に関する規制は、特定商取引法第4章に規定されています。具体的内容は、
1 事業者は、消費者に対し、当該特定継続的役務提供契約の内容を明らかにする書面を交付しなければなりません(同法42条)。
2 誇大広告は禁止されています(同法43条)。
3 勧誘や契約解除を妨げるために、不実告知、威迫・困惑行為をすることは禁止されています(同法44条)。
4 事業者は、契約に関する業務を行う事務所に、その業務及び財産の状況を記載した書類を備え置くこととされ、消費者はこの書類の閲覧・謄本または正本の交付を求めることができるとされています(同法45条)。
5 消費者の利益が害される恐れのあるとき、主務大臣は事業者に対し、必要な措置を取るよう指示することができます(同法46条)。
6 1~4の規定に違反した場合や5の指示に従わない場合、主務大臣は事業者に対し、業務停止命令を行うことができます(同法47条)。
対応方法
特定商取引法による対応
特定継続的役務提供契約については、クーリング・オフが可能です(同法48条)。当該契約に関する法定書面を受領した日を含めて8日以内に、契約解除の書面を発信します。
クーリング・オフ期間が経過した後は、いつでも、消費者は、将来に向かって契約を解除することができます(同法49条)。ただし、この場合は消費者が一定の損害金を負担させられることがありますが、この損害金(違約金)の金額は政令で上限が設けられています。
弁護士に依頼した場合
特定継続的役務提供契約について、法的アドバイスを行います。特定商取引法や民法、消費者契約法についてわかりやすく解説します。
クーリング・オフや途中解約を通知する内容証明郵便の送付、交渉
クーリング・オフや途中解約を主張する通知書を作成し、返金交渉を行います。
Q&A
Q 英会話学校と1年間の契約をし、1年間の授業料50万円とテキスト・教材15万円を購入しました。個人レッスンの予約が全然取れないので、英会話学校をやめたいと思っています。テキスト・教材費の返金も求めることができますか。
A 契約から8日以内であれば、書面によりクーリング・オフを行うことができます。ご質問のように、サービスの提供に合わせて商品の販売が行われる場合、関連商品についてもクーリング・オフが可能です(特定商取引法48条2項)。クーリング・オフを行った場合、支払済の代金は全額返還請求できます。さらに、契約から9日以降の場合、サービス契約の中途解約が可能であるのと同様に、関連商品の販売契約の解除も可能です(同法49条5項)。契約を解除して受け取った教材を返還する場合、事業者が消費者に請求できる損害賠償額の上限は、その通常の使用料に相当する額です。