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 夫が傷害事件を起こし,裁判を受けることになりました。夫は刑務所に行かなければならないのでしょうか。

弁護士からの回答

弁護士からの回答

 裁判で懲役刑の判決が出ても執行猶予というものが付されれば、執行猶予期間中に再度犯罪を犯さない限り刑務所に行かないでよいことになります。

解説

執行猶予とは

 法律上、懲役3年までの判決には執行猶予を付けることができることになっています。執行猶予とは、執行猶予が取り消されないまま一定の期間を経過すれば刑の言い渡しがなかったこととされる制度です。そして、執行猶予期間中は刑務所等に行くことなく、これまでと同様に社会生活を送ることができます。
 裁判所が被告人は刑務所に行かずとも、社会の中で更生ができると考えた場合に執行猶予判決が付されます。そのため、行為自体は軽微であっても同様のことを何度も行っていたりすると、社会内での更生が無理だと判断されて執行猶予がつかない結果になることもあります。

執行猶予の期間・執行猶予の取り消し

 執行猶予には期間があり、この期間執行猶予が取り消されずに経過すれば、刑の言い渡しがなかったことになり、懲役刑を受ける必要がなくなります。執行猶予の期間は事案によって様々ですが3年から5年の期間が付されることが多いです。
 この執行猶予期間にさらに犯罪を犯して裁判になると執行猶予が取り消されることになります(例外的に取り消されないこともありますが、非常に稀です。)。執行猶予が取り消されると、執行猶予に付された判決の年数に、新たに犯した罪の判決の年数を加えた年数の懲役刑が科されることになり、刑務所に収監されることになります。そのため、執行猶予期間中は特に気をつけて生活をする必要があります。

弁護士に依頼した場合

(1) 直ちに接見に赴きます

弁護士に依頼すると、真っ先に被疑者・被告人のもとに接見(面会)に赴きます。刑事弁護は時間との勝負です。弁護士の到着が遅れたために、その間、違法な取り調べによって不利な調書が作成されてしまうことがあることは、これまでのえん罪事件の歴史が物語っています。また、『面会禁止の処分』(接見禁止)がなされている場合は、原則として弁護士しか被疑者と面会することはできません。弁護士によるいち早い接見こそが、重要なのです。

(2) 防御方法や刑事手続等を説明します。

上記で説明した黙秘権や調書への署名押印拒否等の重要な権利は、普通の方はご存じないのが現実です。また、警察でも一応の説明がなされますが、形式的な説明に過ぎず、実質的な防御の方法を理解させることはありません。そこで、弁護士が、早期に接見に赴き、自分の権利を守るための権利や方法を丁寧に説明し・理解させます。黙秘権等の知識及び使い方を理解すれば、逆に「正直に言え」「黙っていることは認めたと同じだ」「逮捕されたお前らに黙秘権などあるか」と、刑事に怒鳴られても、冷静に対応することができます。

(3) 身柄拘束からの解放を目指します

被疑者が理由もなく逮捕・勾留されている場合、弁護士はその被疑者を解放する求めることができます。逮捕された後、弁護士は警察官に対して被疑者を解放するように要請し、被疑者を勾留しないように要求することができます。これにより、勾留されずに、釈放されることもあるのです。また、勾留されてしまっても、勾留決定に対して異議を唱えます。この異議申し立ては準抗告といい裁判所に対して不服を申立てます。弁護士は書面を作成し、裁判官に対して、本件の勾留には勾留の理由も必要性もないことを具体的に主張することになります。その他にも、勾留後の弁護活動としては、検察官の裁量に基づく身柄解放を期待して、できるだけ早期の釈放を行うよう検察官に書面を提出して要請したり、裁判所に勾留の取消しまたは執行停止を求めたりすることが考えられます。

(4) 刑事裁判に向けて証拠収集等の準備活動をします。

逮捕・勾留されたらすぐに、身柄の解放、不起訴及びその後に続く刑事裁判で無罪判決を勝ち取るための準備活動を行います。具体的には、被疑者にとって有利な物的証拠を保全し、又は、第三者の話を録取するなどして、証拠固めをします。この様な証拠収集を起訴された後に行うのは遅すぎます。刑事や検事は、逮捕前から国家権力を背景に証拠固めを強制的に行っています。それに対抗するするためには、早期の準備活動が重要であることは言うまでもありません。

(5) 執行猶予判決を勝ち取ります。

被疑者・被告人に有利な証拠や事情を集め、裁判官に刑務所に行かないで更生することが可能であることを説明し、執行猶予判決を勝ち取ります。