弁護サービス
債権回収問題
相殺による債権回収
相殺に関するご相談
法律相談
当社は取引先に資金援助として多額のお金を貸しているのですが、どうやら倒産したそうです。当社は取引先に対する債務もあるのですが、このような場合相殺というものができると聞きました。相殺とはどういうものでしょうか。
弁護士からの回答
相殺とは、債務者が債権者に対して同種の債権を有している場合に、その債権とその債務とを対当額で消滅させる意思表示のことをいいます。実際の入金がなくても、債務を消滅させる形で利益を得ることができ、事実上の回収を図ることができます。そのため、相殺には担保的機能があるといわれています。
解説
相殺とは
相殺とは、債務者が債権者に対して同種の債権を有している場合に、その債権とその債務とを対当額で消滅させる意思表示のことをいいます。
実際の入金がなくても、債務を消滅させる形で利益を得ることができ、事実上の回収を図ることができます。そのため、相殺には担保的機能があるといわれています。
相殺の要件
相殺を行うには以下の要件が必要です。
① 同種の債権が対立していること
② 相殺を主張する者が有する債権の弁済期が到来していること
③ 相殺禁止の特約がないこと
④ 法律により相殺が禁止されていないこと
同種の債権が対立していること
相殺を行うには当事者間で同種の債権が対立していることを要します。もっとも、通常相殺を検討する場合には、両方ともお金の支払を目的とした債権、つまり金銭債権ですので、あまり問題となることはありません。
相殺を主張する者が有する債権の弁済期が到来していること
相殺を行うには相殺を主張する者が有する債権(これを、「自働債権」といいます。他方で、相殺を主張する側の債務すなわち相手方の債権を「受働債権」といいます。)の弁済期が到来していることが必要となります。相手方の期限の利益を一方的に失わせることはできないからです。
条文上は、受働債権も弁済期が到来していることを要するとされていますが、期限の利益は自由に放棄できることから、事実上は不要となっています。
相殺禁止の特約がないこと
契約で相殺を禁止している場合があります。その場合にはその契約に拘束され、相殺を行うことはできません。
法律により相殺が禁止されないこと
法律で相殺を禁止している場合があります。
例えば、①不法行為により生じた債務、②差押えを禁止された債権、③受動債権の差押え後に取得した債権などです。
このような債権および債務が対象となる場合は相殺が行えません。
弁護士に依頼した場合
相殺の可能性や、その手続についてアドバイスをします。また、内容証明郵便を送付するなどして相殺の手続を行います。