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パワハラ
パワハラを受けている!
パワハラをしてしまった!
パワハラが社内で問題になっている!
1. はじめに
「パワハラ」という言葉は最近テレビでも日常の会話でも使われる様になっている言葉になっています。
パワハラ問題は日々深刻化している様で、年々増加傾向にあります。
厚生労働省は、都道府県労務局等に設置した総合労働相談コーナーという所に寄せられる労務の相談の中で、平成24年度には「パワハラ」が相談中トップになり、その後も増加傾向にあります。
また、厚生労働省は平成28年より過去3年間で約3人に1人がパワハラを受けた事があるというデータを発表しています。
ここに示してある通り、パワハラをみた事がある、相談を受けた事があるという人が30.1%、パワハラをしてしまった、指摘された事があるという回答が11.7%いたと発表しております。
ここから分かる通り、最近増えたものなのか、地に埋もれていた(バレない様にされていた)ものが浮き上がってきたのかは定かではありませんが、「パワハラ」という実態が世の中で明確になって来ている事は確かだと思います。
また、時代によって許される範囲に変化が出ているのも事実で、「昔はこれが良しとされた」といって同じ事を行っても現代ではパワハラ認定されてしまう事があります。
ですので、働いている者全て「パワハラ」を学習し、知っておく必要があると言えるでしょう。
また、パワハラで困ったらどうするべきか、いざ被害者になってしまった場合の対処法なども知っておく必要があると考えます。
2. パワハラとは:パワハラの定義
パワーハラスメント(英語で言うとPower Harassmentと書きますが、この単語は日本で広まった熟語で、 欧米では“Abuse of authority”=“権利の濫用” という熟語が使われている様です。)の略で、厚生労働省が運営している「明るい職場応援団では、「職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」を言います。
ですが、人間同士の問題なのでこれだけではなく、もう少し色々な事象がパワハラになる事があります。
3. パワハラの対象者
上記の「職場の優位性」といったら一般的に上司・部下などの上下関係などが多いのですが、先輩・後輩間あるいは同僚もパワハラに該当する事があります。
4. 指導や注意はパワハラになる?
「業務の適切な範囲」とは、注意や指導した事によって個人の業務に支障が出ない事。
とされています。
ですので言い方や使う言葉などで相手が委縮して業務が行えない状態になってしまったり、相手の業務を奪う様な指示を出したりするのは「業務の適切な範囲」外となります。
判断基準に関して細かい部分を割愛し説明するとするならば、業務に必要のない言動(発言・行動・指示)をしたり、業務とは関係のない理由で業務を行えない状態にしてしまった場合、「パワハラ」と捉えて良いでしょう。
5. 何回目(何日目)からパワハラ?
長期的や回数が多ければ精神的にも肉体的にも傷は深くなります。そのため、軽度の嫌がらせを長期間与えてしまった場合はパワハラに認定される場合もあります。
また、悪質な場合は1回でもパワハラ認定される場合もあります。
パワハラに何回目、何日目など回数は特にありません。
6. パワハラの種類・分類
パワハラは大きく分けて6つに分類できます。なお、これらはよくある例を6分類したもので、これらに該当しないパワハラも存在します。
1 身体的な攻撃型パワハラ
=暴行・障害(身体を傷つける行為)
イラ立ち書類を投げつけられたり、叩かれたりする行為が該当します。
直接体にモノが触れなくても椅子などを蹴られたり、ネクタイを掴む、小突く、机を叩き怒鳴りつける、冬に扇風機を当て続けるなどの行為も身体的な攻撃型のパワハラとなります。
2 精神攻撃型のパワハラ
=脅迫・名誉棄損・侮辱・暴言(精神を傷つける行為)
精神を傷つける行為とは、業務とは関係ない嫌味や暴言を言われたり、人格を否定するような発言をされて精神的に苦痛を与える行為が精神攻撃型のパワハラにあたります。
また、威圧的な態度や雇用上の不安(解雇や極端に仕事量が増えたりあえて減らしたり、敢えて全く関係のない仕事を命令したりすること)を与える行為もこれに当てはまる場合があります。(4、5と重複する部分があります。)
3 人間関係の切り離し型パワハラ
=隔離・仲間外し・無視(人間関係を孤立させる行為)
自分だけ朝挨拶されない、話しかけても無視をする、食事や飲み会、メール、ラインなどのグループに孤立させる為にわざと入れない、資料が自分だけくばられないなど、人間関係を孤立させる行為は人間関係切り離し型パワハラに当てはまります。
昨今、人間関係が希薄になっていると言われています。うっかり無視などしてしまうとパワハラの種を作ってしまう可能性があります。
4 過大要求型パワハラ
=業務上不要なことを遂行させる、不可能な事を強制させる、仕事の妨害(過度な要求をする行為)
到底終わらない量の仕事を押し付ける行為。新入社員に対し達成困難なノルマを課したり、大量の仕事を一晩で仕上げる命令をしたりすると過大要求型のパワハラになります。
5 過小要求型パワハラ
=業務上合理性がない仕事や能力や経験とかけ離れた仕事をわざと与える、または仕事を与えない(尊厳を無視しし過小過ぎる要求をする行為)
被害者にとって過度に程度の低い業務を当てる(当て続ける)行為は過小要求型パワハラに該当します。
業務をバリバリこなせる人にわざと「明日からひたすらコピーとゴミ出しを1日中お願い。」と要求したり、シュレッダーがあるのに「一日中紙を破ってて」という様に言い渡すような行為が過小要求型パワハラに該当します。
6 個の侵害型パワハラ
=個人的な事に過度に立ち入ること(プライバシーの侵害行為)
セクハラと重複する部分でもありますが、業務に関係ないプライベートな部分を執拗に聞いてきたりする行為が個の侵害型パワハラに該当します。
交際相手や結婚に関してや、携帯やスマホを勝手に見たり、個人の電話に仕事と関係ない内容でしつこく連絡したり、個人の生活にあれこれ口出しするなどの行為も該当します。
厚生労働省は、これら6つパワハラがどの程度の割合で起きているのかを発表しています。
これは過去3年間に受けたパワーハラスメントの内容で、2の精神的な攻撃が圧倒的に多いという事が分かります。
同乗者 or 車両提供者 or 酒類提供者への罰則
運転者が飲んでいたと知りつつその車に同乗した者 | 運転者が酒気帯び運転 | 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
---|---|---|
運転者が酒酔い運転 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | |
飲酒運転をする恐れがある人に車両を提供した者 (運転者と同等の罰則になります) |
運転者が酒気帯び運転 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
運転者が酒酔い運転 | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 | |
飲酒したあとに車両を運転する恐れがある人に酒類を提供した者 | 運転者が酒気帯び運転 | 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
運転者が酒酔い運転 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
7. パワハラで罪に問われる場合
パワハラは悪質性が高い場合は様々な罪に問われる可能性があります。
損害賠償請求が主で、精神的苦痛を与えたとして慰謝料の支払いが命じられます。
刑事事件として扱われる場合
暴力を受けた場合→「傷害罪」や「暴行罪」 が該当する可能性があります。
精神的な攻撃で「脅迫罪」や「名誉棄損」や「侮辱罪」に該当する場合があります。
罰則は以下の通りとなります。
罪名 | 罰則 |
---|---|
傷害罪 | 15年以下の懲役、または50万円以下の罰金 |
暴行罪 | 2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金 |
脅迫罪 | 2年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
名誉棄損 | 3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金 |
侮辱罪 | 拘留または科料 |
8. パワハラで訴えたい場合
許せない!
とても傷ついている!
ケガをさせられた!
訴えてやる!
そう思われている方もいるのではないかと思います。
そういった方はすぐに弁護士に依頼を!
とその前に、必ず行っていただきたい事があります。
「少しでも早く弁護士に相談をしてください。」
いきなり依頼でも良いのですが、相談をして予算や期間、そして現時点での弁護士の見解、訴えたらどうなるのかを確認してください。
その上で依頼をするかしないかを判断しても良いと思います。
そして何よりいきなり依頼しない方が良い理由があります。
それは
「訴訟して勝てるだけの証拠を集められるかどうか」
を弁護士に判断してもらう必要があります。
パワハラ訴訟にとって「証拠」はとても重要なカギとなります。
逆に、焦って訴えても証拠不十分で終わってしまう場合があります。
素人の考え方で「これが証拠になる!」と判断するより、プロにどういった証拠を用意すべきか、どういった証拠が裁判で有効かを確認しましょう。
アトム市川船橋法律事務所千葉支部では多くのパワハラ案件を扱っており、初回は無料で相談も受け付けております。
無料の相談のみで依頼せずに終わられる方もたくさんいらっしゃいます。
また、実際に依頼を頂けば親身になって依頼者様にとっての目標に向けて全力で活動させて頂きます。
また、アトム市川船橋法律事務所千葉支部では多くのパワハラ案件を処理した経験から、事件の処理だけでなく依頼者様の心身のケアにも十分に配慮して参ります。
9. パワハラの重要な証拠となるもの
パワハラの重要な証拠となるものはあります。
というより、パワハラで訴えたり、証明するには「証拠」がとても重要です。
何より「言った・言わない」「やった・やらない」を口頭で話し合う機会を可能な限り可能な限り減らさなければなりません。
それを一発で証明するのが「証拠」です。
そして、その証拠となるのが「記録」です。
まず最初に行くべき所(やるべきこと)は、
会社内にコンプライアンス室などパワハラの相談窓口がある場合はそこに行って相談実績を残してください。
それが「会社側が把握した日」にもなりますし、被害が最小限で済むもしくは無くなるアドバイスや対応をして頂けるかもしれません。
ですので出来るだけ早く行った方が有効だと言えます。
そして動画、静止画、音声。そしてメールや手紙。
様々なもので記録を取る必要があります。
上司と話し合ったりする際はICレコーダーやスマートフォンなどで録音等、記録を残すと良いでしょう。
また、日常的に嫌がらせや暴言を吐かれている場合は細かくノートに記録を残
すのも良いでしょう。
そこには「いつ:どこで・誰に・何をされた、どんな事を言われた」等を記録してください。
また、量が多くなる事が想定されれば(記憶しきれない範囲になるなら)「その時自分がどう感じたか」も、その都度書いておくとよいでしょう。
ノートは頻度や回数、内容を全体的に把握するのに有効です。
スマートフォンでノートの写真を撮るなどして、ノートの作成日を逐一記録することも有効でしょう。
それは仮に裁判が行われた場合、証拠として使う事が出来ます。
弁護士を通じて「陳述書」というあなたの言い分をまとめた書面を作成し、それを証拠とすることも出来ます。
陳述書とは、
「事件に関して被害者自身が経験したり、認識したりした事実を時系列に沿ってのべたもの。また、自分自身の言葉で事件を説明するもの」です。
また、目撃者がいた場合、目撃者にも陳述書を書いてもらうとより信憑性が増すでしょう。
これが裁判で有効だという事を頭に入れながら(他の人が読んでも分かる様に)
上記にある、「いつ・どこで・誰が・何をされた、どんな事を言われた」というのを時系列的に記録してください。
また、ケガを負った場合やうつ病等精神的に病んでしまった場合など、病院に行ったらその診断内容を記録しましょう。
そして診断が確定したら診断書を貰っておくと良いでしょう。
また、病院に行っておけばカルテに診断記録が残ります。
証拠となるもの まとめ
パワハラを立証する上で証拠は非常に重要なので、この部分だけ一度まとめます。
・会社の相談窓口に行く(相談実績を作る。社内対応してもらえる可能性もある。そしてアドバイスも受けられる)
・録画する
・録音する
・静止画(写真)を撮る
・時系列にまとめたメモを取る(誰がどこで何をやったか、その時の受けた感情も含め記録。継続性、頻度が分かるように記録)
・メールや手紙等、パワハラと言えるモノをまとめて残しておく
・目撃者を集う(可能なら陳述書を書いてもらう)
・必要であれば病院に行く(診断書ももらう)
・弁護士へ相談(相談実績、訴訟する場合に必要な証拠の種類、集め方などアドバイス、心身のケアのアドバイス等を受ける)
・減給や降格などがあった場合はパワハラ前後でそれが分かるのもの
10. いざパワハラで訴える
パワハラで訴える前に、パワハラの中止を求めたり、加害者もしくはその上の管理者、相談窓口に相談した方が良いでしょう。
仮にそれらが難しかった場合もしくは相談で解決しなかった場合、「通知書」にてパワハラの中止を求めます。
その中止を受け止めなかった場合はその通知書に「損害賠償請求する旨」を記載します。
通知書は「内容証明郵便」でパワハラの加害者もしくはその会社に送ります。
内容証明郵便とは、いつ誰がどんな文章を誰宛て送ったのかを郵便局が証明してくれるサービスの事で、「言った・言わない」を無くしたり、送った文章の改ざんなどが出来ない様になります。
内容証明を送るという事は受けているパワハラに対して討論する意思表示でもあります。
直接討論、交渉をしたくない、法的な観点からしっかり戦いたい場合は弁護士を代理人入れて交渉した方が良いでしょう。
それでも交渉が上手くいかなかったら「労働審判」または「裁判」で決着をつける事になります。
「労働審判」とは、あまり聞きなれないかもしれませんが、地方裁判所の制度の一つで、賃金未払い、パワハラ、セクハラなど労働問題について、専門委員会を含め話し合いを行い解決を目指すもの。
裁判と比べ簡易的であり、労働審判員や労働審判官など専門員が入るため客観性が保たれ、短時間での解決が望めるというメリットがあります。
しかし、強制力は訴訟と違い無いため、不服があれば訴訟、裁判となります。
裁判を起こすには民事訴訟(暴行を受けたりケガなどを負っている場合など刑法に触れる場合は刑事告訴をするのですが、パワハラでは民事訴訟が多いためここでは民事訴訟について記します。)を起こすために相手の現住所を管轄する裁判所に「訴状」を提出します。
訴状とは、「訴えたい人が裁判で何をしてほしいのか、裁判に何を求めているのか。その理由や趣旨」を記載したもの。
被害者(原告)より訴状を裁判所が受理すると、加害者もしくは会社(被告)に、第一回口頭弁論への呼び出し状が送られてきます。
そこには「答弁書」という、訴えに対する反論を記入する用紙が入っているのですが、仮にこれを無視してしまった場合、「原告(被害者)側の主張内容を認めた」と判断されます。
加害者側(被告側)の反論が記された答弁書が揃えば口頭弁論へと移っていきます。
双方の主張、争点が整理されたら言い分を証明する証拠の確認を行います。
人が証拠となる「人証」、物が証拠となる「物証」を被害者(原告)側、加害者(被告)側双方から提出され、裁判官が必要と判断されたものが法定に持っていかれ調べられます。
その後、「判決」が下ります。
11. パワハラで訴える場合の費用
自分自身で訴訟を起こす場合の費用
訴訟額> | 手数料 |
100万円以下 | 訴訟額10万円毎に1000円 |
100万以上 | 500万円未満 1万円と訴訟額20万円毎に1000円 |
500万円以上 | 1000万円未満 3万円と訴訟額50万円毎に2000円 |
1000万円以上 | 10億円未満 5万円と訴訟額100万円毎に3000円 |
損害賠償の額によって手数料が変わります。
別途印紙代や切手代がかかります。(約6000円~7000円程度)
弁護士へ依頼した場合
弁護士事務所によって料金は様々です。
料金の種類は以下の通りになります。
料金の種類 | 内容 |
着手金 | 弁護士に依頼し、活動してもらうためにかかる費用。裁判での勝敗は関係なく支払う必要があります。 ただ、着手金無料で動いてくれる弁護士事務所もあります。 |
報酬金 | 訴訟で慰謝料や和解金、未払い残業代などが得られた場合、そのうちの○○%といった形で、そのパーセンテージの料金が発生します。事前に契約で決められています。 |
その他 | 書類作成費用や交通費、場合によっては宿泊費用など訴訟をするのに発生してしまう諸経費。 |
金額は勿論、戦略、方針、サービス内容も法律事務所によって変わってきます。
事前に確認し、納得がいった場合のみ依頼しましょう。
12. パワハラでの損害賠償の慰謝料の相場はいくら?
内容や悪質性、被害を受けた人の状態など様々な観点から慰謝料額が決定します。
パワハラの損害賠償の慰謝料の相場はだいたい50万円~100万円と言われています。
勝訴したとしてもそれまでにかかった諸々の手間や弁護士に依頼した場合にかかってくる費用を考えたりするとマイナスになるケースもあります。
その観点からもいきなり弁護士に依頼するのではなく、事前に弁護士に相談し、明確になった段階で依頼するかしないかなどを決めた方が良いでしょう。
アトム市川船橋法律事務所 千葉支部では、強引に依頼して頂く様な事は一切行いません。
必ず依頼を頂けたらどういう流れになり、だいたいどのくらいの額を請求でき、どのくらいの弁護士への報酬額になるというのを明確に示し、ご納得頂けた方のみ依頼を頂く様にしています。
13. パワハラで訴えるべき?を、考える
パワハラで訴える前に出来る予防策や、訴えたらどうなるのか。
それを考える必要があると思います。
そして判断の難しいパワハラも多数存在し、いきなり訴えても思うような結果が得られない場合もあります。
また、パワハラは仕事を一生懸命取り組み、ギリギリの所で心の余裕がなくなり自分を守ろうと立場の弱い人につい攻撃的になった所で起きたりします。
少し冷静になればパワハラに気付き、誠心誠意謝罪をし、今後起こさなくなるケースも多く存在します。
そういった場合は訴えるべきなのか?どうするべきなのか。
放置してしまうと我慢をする事になってしまうのか?そういった様々な視点から自分が受けているパワハラを考える事も必要かもしれません。
14. まず出来る事とパワハラ予防策
パワハラで訴える前に出来る事として、必ず社内の相談窓口、なければ社外の「労働基準監督署」で相談しましょう。
労働基準監督署の中に「総合労働相談コーナー」という窓口があり、そこではパワハラに関して相談でき、解決出来る事やパワハラ問題の解決の為の手順などを紹介してもらえます。
また、社内の窓口に相談すれば社内にパワハラ問題がある事を知らせる事ができ、それが社内で対策する為のきっかけになったりします。
そしてその対策が今後起きない様にする予防策になる場合があります。
当事者間では解決出来ない事が多いパワハラ。
早めに労働基準監督署や弁護士といった第三者の力を借りることが解決への近道と言えるでしょう。
15. パワハラで訴える事のデメリット
パワハラで訴える事のデメリットも加味した上で行動しなければなりません。
簡単に言うと、全てのケースではありませんが、パワハラで会社を訴えた場合、会社に居づらくなる事が予測されます。
勿論パワハラで他の社員から感謝される事もあるかもしれません。
当たる当たらないはあるとは思いますが、様々な環境がある中で訴える事でどうなるのか、予測した上で行動すると良いと思います。何より起こりうる事を想定の範囲内に収めれば色々と準備が出来ます。
また、異動や転職なども検討しても良いと思います。
様々な人生設計がありますが、必ずしも同じ職場で、同じ部署で働かなくてはならないという事もありません。
ケースや解決策にもよりますが、パワハラの当事者同士はどうしても顔を合わせにくいものです。ですので、場合によっては人事異動や社外への転職なども一つの選択肢だと思います。
そして精神的苦痛が出てしまった場合うつ病にかかってしまうリスクがあります。
16. パワハラを受けたあとの出る症状、影響
厚生労働省は、パワハラを受けたあとのメンタルの影響について統計データを公表しています。
それによると、
・怒りや不満、不安を感じた
・仕事に対する意欲が減退した
・職場でのコミュニケーションが減った
・眠れなくなった
・休む事が増えた
・通院したり服薬をした
などの症状・影響が出ているそうです。(上に行くに従い割合が増える)
怒りや不満、不安を何度も繰り返し感じた人が80%を超えており、殆どの人が最低でもこういった事を感じるであろうという事がわかります。
また、通院や服薬を何度も繰り返している人は20%を超えており、パワハラが原因でうつ病など通院するレベルまでいってしまう事も十分に考えられる事が分かります。
場合によっては、パワハラが原因で自殺してしまうとても悲しいケースも今までありました。
そういったリスクを少しでも避ける意味でも「転職」という選択肢は悪くないと思います。戦う事も大事なのですが、逃げる事も大事であると言えます。
ただ、「転職癖」がついてしまうのも良くないかもしれませんが、その辺りは状況に応じて自身で考えてみた方が良いと思います。
被害を受けていて混乱し、目的がまとまっていない
被害を受けていて精神的に肉体的にダメージを追っている場合、気が動転したり、冷静に判断出来なかったりします。
その場合、「そもそもパワハラで何を訴えたいのか。どうして欲しいのか」
が被害者の中でまとまっていない場合があります。
これは訴える前にまとめておくべきことで、まとめた上で訴えるかどうかを考えても良いと思います。
また、何が出来て何が出来ないなどの相談は社内外の相談窓口か、法律事務所に相談をしても良いでしょう。
訴えた所で被害のレベルと比べ得られるものが少ないという事も大いに考えられます。
ただただ仕返しをしたい!と思っているのであれば訴訟を起こす事で気が晴れるかもしれませんが、具体的にどこまでどうして欲しいという所まで考えておくとやるべき事が見えてくるかもしれません。
他者の意見を聞く
パワハラは目には見えないものや、突発的に起こす行動など録音、録画をその場ですぐ記録出来ない場合があります。
そういった場合は実態を伝えにくくなってしまいます。
客観性を上げる為には目撃者が集まれば効果的です。
また、他社からみてそのパワハラはどう映ったか。それを判断してもらうのも客観性を上げる上で大切なポイントとなります。
また、前から薄々パワハラと感じていた人や、言いたかったけど言い出せなかった人などがいた場合、今後の展開をする上で味方になってくれる可能性が高いです。
17. 会社(企業・組織・団体)が行うべきパワハラの対策
主に上司など権力を持っている者から受けるパワハラが一番多く、いかに無くせるか。より良い職場環境をいかに作れるかというのは長期雇用にも繋げられる、企業にとって重要な課題と言えます。
また、数は少なくなるかもしれませんが、上司に限らず同期、同僚、男性、女性に限らずパワハラは存在するのでその辺りにも目を向けなければなりません。
これはセクハラも同様なので、平成18年に厚労省から発表されたセクハラ防止指針を参考にすると良いでしょう。
以下抜粋致します。
① パワハラに関する方針の明確化と周知・啓発
就業規則や書面によって明確にパワーハラスメント(パワハラ)の定義をしつつ、会社としてどういう対応をするのかを従業員に周知し、教育すべきです。
② 相談窓口の設置と適切な対応
パワーハラスメントの被害に遭った労働者が気軽に相談できる体制を作り、それを周知させる。
③ 迅速な事実調査と加害者・被害者へのプライバシー等適切な措置、再発防止措置
パワーハラスメントの被害が発生している報告、疑いがあればプライバシーを守りつつ事情を適切に聞き取り調査を行う事が重要です。
場合によっては人事異動などをして両者が顔を合わせない様に配慮したり、加害者の懲戒処分の検討なども必要です。
また、コンプライアンス担当者、ハラスメント担当者はいかなる事例も毅然と対応する必要があります。
④ 申告者・調査協力者等のプライバシーも保護し、不利益が生じない様にする
パワーハラスメントの訴えや、周囲協力者はプライバシーに踏み込む内容も含まれるので当事者以外への措置、配慮も適切に取る必要があります。
⑤ パワハラの仕返しが起きない環境を作り、措置をする
どうしても被害者や情報提供者は仕返しされるのではないかという恐怖心から大事な情報を報告してもらえない、情報を伝えたくない心理が働く場合があります。
そういったケースを無くす為にプライバシーの保護や措置、対策が必要になります。また、言いやすい環境を作っている事を周知し、重要な情報を集めやすくする事も大事です。
18. パワハラの有名な事例・事件
昨今ニュースなどでもパワハラ事例を取り上げる事が多くなりつつあります。
これは世の中の関心が上がっている事でもあり、今まで隠ぺいされてきた、言えなかったものが言える環境になってきたとも言えると思います。
スマートフォンやカメラ、ICレコーダーも小型化かつ精度が高く安価になって来ているのもあり、証拠が揃えやすくなってきている時代背景もあるかもしれません。
そこでいくつかニュースになったパワハラの事例を紹介致します。
2018年にあった(発覚した)、ニュースになったパワハラの事例の一部
・女子レスリング五輪4連覇、国民栄誉賞を受賞した伊調馨選手が栄和人(日本レスリング協会強化本部長、至学館大学レスリング部監督)から平成22年2月の女子代表合宿中、「よく俺の前でレスリングができるな」と発言。更に同年9月にモスクワで開かれた世界選手権で、伊調馨選手を指導していた田南部力氏に対し「伊調選手を指導しないよう」圧力と言える発言をする。
→ 調査を委託した第三者委員が、栄氏の言動の一部をパワハラと認める報告書をまとめたことを公表した。22年の広州アジア大会の女子代表選考で明確な理由なく伊調選手を代表から外したこともパワハラと認定。栄氏は選手強化本部長の辞表が提出、理事会は受理した。栄氏は今後、代表選手の指導に関わらない。
・日本大学アメフト部で内田前監督らがアメフトの試合中に宮川泰介選手に関西学院大の生徒を「潰せ」という趣旨の指示を出し、不必要かつ危険な後方からの激しいタックルを宮川選手はしてしまう。
被害者は大けがを負い、内田正人前監督と井上奨前コーチを、傷害の疑いで刑事告訴した、いわゆる「日大タックル問題」
→ 日大や内田正人監督は指示を否定している。日大は回答書で、悪質なタックルについて指導者はルールに基づく『厳しさ』を求めたが、選手の受け取り方に乖離(かいり)があったと説明。
・広島大学の元教授が学生ら3人に対し「豚野郎」などと暴言を吐いていた。学生のうち1人は適応障害と診断されて、1カ月間の自宅療養をせざるを得なくなった。
→ 元教授の男性を諭旨解雇相当に認定
・芸能プロダクション社長が「クライアントがいるんだから面白いことをやれ」と当時社員だった男性の顔を熱い鍋の中に押し付け、大やけどを負った。(事件自体は2015年)
・日本郵便の新入社員が上司から「パラサイト」などと罵倒され続け、退職するよう迫られパワハラを受けたとして損害賠償を求めた
→ 東京高裁は日本郵便や同上司に計132万円の支払いを命じた
・リオデジャネイロ五輪代表の宮川紗江選手の暴力的指導をした速見佑斗コーチと共にパワハラを受けたとして塚原千恵子女子強化本部長らを告発。
→ 第三者委員会よりパワハラは認められず。
・日大チアリーディング部監督が、特定の学生をターゲットに暴言、強要を連発
2018年1月の大雪の日にほとんどの部活が中止を決定する中、チアリーディング部にはその連絡がなく、女子部員が顔見知りの事務員に話すと事務員が監督へ連絡、その後部活の中止が発表されたため、女子部員は一緒にいた友人と喜んだ。
これに対しチアリーディング部監督は「大雪の日に練習が無くなるよう事務員に頼んだ」と事実と異なることを全部員の前で叱責。その後特定の生徒に対し出身高校のジャージーを着ていたのを見とがめ、「学校の恥。今すぐ脱げ」などと発言したり、ケガが回復していないのに「ずる賢いバカ」などと発言し、大会に出場させようとした。
その後精神的に追いつめられた女子部員側は、学内の保健体育審議会に解決を求めたが、対応されず、精神的に追い詰められ自殺を考えるようになり、学校に通えなくなった。
→ チアリーディング部監督のパワハラ報道についてマスコミ発表し、保健体育審議会が女性監督を同日付で解任したことを明らかにした。
19. まとめ
パワハラはここ最近使われだした言葉でありながらも昔から存在した行為であり、ようやく世の中が解決に向けて動き出した事案です。
ですのでまだまだ潜在的に存在しうる事であり、いち早く皆様個人や企業が解決策を知り、対策、予防策をする事で、被害を1件でも減らせるよう努めていくべきだと思います。
アトム市川船橋法律事務所 千葉支部では、豊富な実績から依頼者の利益を最大化すべく、迅速かつ丁寧な対応を致します。
また、パワハラ事件は勿論、労働関係全般を取り扱った経験も多く、多くの事案を解決して参りました。
パワハラ事件にはかなり精通しています。
パワハラは放っておくと気付いたら精神に甚大な被害が出ていしまっている場合があります。過去の悲しい事例として自殺してしまったケースもございます。
そういった悲しい事例を世の中から少しでも減らせるよう、アトム市川船橋法律事務所千葉支部では全力で解決に向け協力、弁護活動を行っております。
なにかお困りでしたらすぐに弁護士にご相談ください。
弁護士に相談するのは早いに越したことありません。
少しでも依頼者様にとって有利になる判決を得る為にも、依頼頂かなくても少しでも早く安心して頂けるよう、お早めの相談を推奨しております。
パワーハラスメントで被害にあった、相談が来た、どう対応すべきかなど、個人法人問わずすぐにご連絡ください。
24時間365日無料相談受付中です。
全ては初動が決め手となる場合がありますので事前に当事務所のお電話番号(043-301-6777)をお控え頂ければ緊急時すぐに電話でき、対応もよりスムーズにできると思います。