JR千葉駅東口より徒歩3分。無料ご相談の予約は 043-301-6777

取扱分野一覧

services

横領・窃盗・着服・背任

横領・窃盗・着服・背任

横領された!横領してしまった!
窃盗された!窃盗をしてしまった!

横領・窃盗・背任・着服・万引きなど知っている様で知らない似ている言葉の違いや、
これらをしてしまった、されてしまった場合などを弁護士が解説します!

1. はじめに

横領・着服・窃盗・背任・万引き。それぞれの違いとは?
似ている様で同じではない、同じモノを盗んだりする時に使われる言葉ですが、これらの違いを解説します。

単語 意味(広辞苑より)
横領 他人または公共の物を不正に奪う事
着服 ごまかして密かに自分の物とする事
窃盗 他人の財物をこっそり盗む事
背任 任務に背くこと。任務の本旨に反すること。自分の利益などのために、地位を悪用して勤め先に損害を与えること。
万引き 買物をするふりをして、店頭の商品をかすめとること。

比べてみてもどれも物を盗んだり自分の利益の為に行う犯罪の様ですが、どういった場合どの単語が使われるのか、少し判断が難しい場合がありそうです。
法的にはどのような場合どういった単語が使われるのか解説していきます。

2. 横領とは

その中でも横領は3種類あり、

① 業務上横領罪

業務上横領とは、
「仕事上の理由で自分の管理下にある会社やお店のお金を盗む行為」を言います。
例えば
お店の売上の一部をアルバイトでレジをやっている者が盗んでしまったり、
会社の経理担当が会社の売上の一部を不正に自分の口座に振り込んだ場合、「業務上横領」に該当します。
また、現金に限らず会社が発行するポイントを不正に取得する場合も態様によっては業務上横領に該当します。
恐らく一番耳にした事がある横領がこれでしょう。

② 単純横領罪

単純横領とは、
「自分が管理する他人の物を自分の物としてしまう(横取りしてしまう)行為」を言います。
例えば
レンタルDVDをそのままDVD買取ショップに売ってしまったり、
友人から借りている洋服を勝手にネットオークションで売ってしまったりした場合、「単純横領罪」に該当します。
いわゆる、「借りパク」というのはこの「単純横領罪」に該当します。

③ 遺失物等横領罪

遺失物等横領とは、
「遺失物や漂流物を勝手に所有(して自己の支配下に置く)する行為」を言います。
例えば、
町で財布を拾って警察に届け出ず自分の物としてしまった場合や、
川の上流から流れてきた浮き輪をそのままもらってしまった場合遺失物等横領罪になります。
注意が必要なのは、ゴミ同然でも古い自転車を拾って乗った場合も遺失物等横領罪になります。
いわゆる、落とし物を「ネコババ」する行為が遺失物横領罪に該当します。

3. 着服とは

これは法律用語では使用されません。
着服は刑事上では「横領罪」に該当します。
余談ですが、横領した場合も「横領罪」に該当します。
意味は上記の通り、「ごまかして密かに自分の物とする事」を着服と言います。

4. 窃盗とは

刑法上、窃盗とは
「他人の管理の中にあるものを盗む(自己の占有下に移す)事」を窃盗と言います。
例えば、
お店に客として入り、店にある商品を盗んだり、
友人の自宅に招かれた際、その家の物を盗んでしまった場合「窃盗罪」に該当します。
いわゆる、「万引き」が窃盗罪に該当します。

5. 背任とは

刑法上、背任とは
「他人の為に事務を処理する者が自分自身もしくは第三者の利益もしくは被害者へ損害を加える目的でその任務(本来の事務の処理)に背く行為」を背任罪と言います。
少し理解するのが難しいですね。
ここで言う「他人の為に事務を処理する者」とは、身近なところでいうと「雇っている事務員さん」が該当します。
また、ここに幅を持たせた意味合いはありません。つまり、「掃除をしてくれている方」や、「工場のラインで働く人」が事務処理をしていなければ該当しません。
その事務処理をしている事務員さんが本人の利益もしくは第三者の利益の為に勤めている会社(被害者)へ損害を加える事です。

また、「自身もしくは第三者の利益もしくは被害者へ損害を加える目的」という、「目的」がなければ背任罪は成立しません。

「背任」と「横領」の違いは、捉え方が非常に難しいです。
この2つには非常に似ている部分があります。
この2つの区別は学者・弁護士といった法律の専門家でも解釈が分かれる場合も多く、案件に応じてケースバイケースで判断されます。

6. 万引きとは

「万引き」という罪名はありません。
上記の通り、刑法上は窃盗と同じで、万引きは「窃盗罪」に該当します。
余談にはなりますが、万引きが見つかった時に店員に追われ、店員を振り払った際にケガをさせてしまった場合は事後強盗致傷罪となります。

7. 横領・着服 と 窃盗・万引き の違い

上記の通り、法律用語でいうと
横領と着服は同じ「横領罪」
窃盗・万引は同じ「窃盗罪」
になるのですが、その「横領・着服」 と 「窃盗・万引き」はどの様な違いがあるのでしょうか?

ズバリ!
「誰の管理下なのか?」の違いです。

横領は「自分の管理下にある他人の物」  を盗む事。
窃盗は「他人の管理下にある他人の物」  を盗む事。
です。

誰の管理下なのかで横領と窃盗は分けられます。
つまり、店の商品を盗む「万引き」は、他人の管理下にあるものを盗んでいるので「窃盗罪」となります。
また、
会社内の経理の人(自分の管理下)が会社のお金を盗んだら「横領罪(業務上横領罪)」に、
社外の人(他人の管理下)が会社の金庫からお金を盗んだら「窃盗罪」となります。

8. 横領の罪

第252条

1. 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2. 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

9. 業務上横領罪

刑法第253条

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は単純横領罪とは違い、「業務上」という更に信頼関係がより重要視される立場を侵害する行為とみなされ、単純横領罪は最高懲役が5年なのに対し、業務上横領罪は10年と更に重く刑が科されます。

10. 遺失物横領罪

第254条

遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

この罪は、単純横領罪・業務上横領罪とは違い、占有者との間に委託信任関係がない点で、狭義の横領罪とは異なります。占有離脱物とは、占有者の意思に基づかずにその占有を離れたもので、意思による離脱物を「廃棄物」(捨てたもの)と言います。

11. 単純横領罪

単純横領罪は、刑法第252条により、「5年以下の懲役」という刑罰に処せられます。

窃盗罪

窃盗罪は、刑法第235条によって「10年以下の懲役もしくは、50万円以下の罰金」という刑罰に処せられます

12. 窃盗罪や横領罪で逮捕されてしまったら?
窃盗罪や横領罪はどのくらいの確立(割合)で起訴されるの?

窃盗罪や横領罪で逮捕されてしまった場合、有罪率は99%と言われています。
ただ、起訴率は58%程度と言われています。
「起訴」とは、検察官が裁判所に犯罪行為の有無とその刑の判断を求める事で、起訴されてしまえば99%有罪になり、有罪になれば前科がついてしまいます。
罰金刑の場合でも前科がつきます。

これが起訴されず、いわゆる「不起訴」になり、起訴猶予となれば前科ではなく「前歴」という扱いになります。
「起訴猶予(きそゆうよ)」とは、不起訴になる理由の一つで、「犯人の性格や年齢、境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況」を考慮して、「罪が軽かったり、反省している、被害者と示談が成立し和解している」などがあって、起訴されない場合のことをいいます。

13. 横領・窃盗をしてしまったら

理由は様々だとは思いますが、横領や窃盗をしてしまい、十分な証拠に基づき立件及び起訴されたら99%有罪になると言われ、有罪がつけば実刑および前科がついてしまいます。
市川船橋の弁護士 高橋 祐樹

これらは今務めている会社を解雇されてしまったり、家庭が崩壊する原因にもなりえ、さらに今後の人生でかなり不利になる場面が増える可能性があります。
そうならない為にも直ちに罪を認め、被害者に誠心誠意謝罪・償いをしましょう。
被害者(社)に経済的な損害(いわゆる金銭的な被害)を与えたのであれば、可能ならそれと同等額を返還する様にしましょう。
いわゆる、「被害弁償」がされているかが非常に重要になります。
そうすることで被害者(社)から刑罰を望まない、寛大な処分を希望される場合があります。

そうなれば「示談」が成立する事もあり、起訴されずに済む場合があります。
勿論、どんなに謝罪しても許すか許さないかは被害者(社)次第ですし、この被害によりさまざまな影響や、こういう被害の頻度などから全く示談に応じないケースもあります。
仮にそうだとしても誠心誠意の謝罪と償いはすべきと考えます。
謝罪の為に会ってもらえなくても謝罪文を送るなどの誠意を見せた方が良いと思います。

こういう、「会ってもらえないケース」というのは割と多く、そういう場合は弁護士に刑事弁護を依頼し、加害者に変わって弁護士から被害弁償の申し入れや示談交渉をする様にしましょう。

*注意
ただし、横領や窃盗は立証が難しい場合も多く、必ずしも罪を認めて示談することが得策であるとは言えません。
被害弁償を行うかどうかの方針決定も含め、早めに弁護士に相談された方が良いでしょう。

14. 前科をつけない為には

前項でも触れていますが、前科をつけない為には「起訴されない様にする(不起訴にする)」事が必要です。そのためには示談を成立させるというのが重要です。
また、執行猶予の有罪判決でも前科はついてしまいます。
前科をつけない為には検察官による「起訴猶予」の判断を獲得する必要があります。
それらの為には弁護士の活動が重要になります。
また、弁護士の中でも刑事事件に強い弁護士に弁護活動してもらう事を推奨致します。
そしてこういう事件はスピードが非常に重要です。少しでも早く弁護士に相談しましょう。

アトム市川船橋法律事務所千葉支部では多くの刑事事件を扱い、示談を成立させてきました。
的確な戦略とスピード対応で99%有罪になってしまう刑事事件で0.1%しかとれない無罪を4回連続獲得した実績がございます。
弁護士人生で1度でも無罪を取れれば凄いとされる中で、
4も連続で無罪を取るには運だけでは絶対に不可能だと自負しております。
何かお困りでしたら直ぐにご連絡ください。
24時間、365日 無料相談受付中です。

15. 仮に、起訴されてしまった場合

「起訴」とは、検察官が裁判所に犯罪行為の有無とその刑の判断を求める事で、起訴されてしまえば99%有罪になり、有罪になれば前科がついてしまいます。
「前科」とは、刑事裁判で有罪判決を受けた履歴のことをいいます。
罰金刑の場合でも前科がつきます。

起訴されてしまったら受ける刑の重さ(量刑)や、執行猶予がつくかどうかを裁判所が決めるのですが、以下の内容を踏まえて判断されます。
・初犯かどうか
・犯罪の態様
・謝罪の有無
・被害額 や 被害弁償できているかどうか
示談成立の有無
・加害者の態度(反省しているかどうか)
・被害者の処罰感情  など

このような部分を考慮の上、判決が下されます。

16. 窃盗したくなくてもで窃盗をしてしまう病気。
窃盗症(クレプトマニア)とは

お金に困っている訳でもなく、(本来)窃盗したい訳でもなく窃盗をしてしまうという症状があります。
「クレプトマニア」日本名で、「窃盗症」という精神障害の一種と言われていて、精神内科のクレプトマニア専門医もいますし、クレプトマニア専門の病院もあります。
このクレプトマニア(窃盗症)とは、窃盗(万引き)をする事で得られる快感や、ドキドキ感などが忘れられずに窃盗を繰り返してしまう様です。
窃盗をする本人はお金に困っている訳でもないのにどうしても窃盗(万引き)が止められず困っているケースが多く、病院を受診されている方もいらっしゃいます。

17. よくある横領の一例

ここでよくある業務上横領の例を紹介致します。

Aさんは会社に勤めていて、経理を担当。
Aさんが毎月数万円ずつ会社のお金を盗んでおり、この度税務調査が入る事になり自分の罪が会社にバレるのが恐ろしくなり社長に報告。
立件はしないから一括で今まで盗んだ額を返済するよう言われたが、いつからどのくらい盗んだかAさんは把握出来ていない。
税理士が2年遡ったら1000万円と言われた。
ただ、それ以上遡ったらもっと盗んでいる可能性は大いにある。
Aさんの返済の意思はあるが、一括返済は厳しい。半額の500万円ならとりあえず準備出来る。
Aさん自身は非常に反省し、会社の皆および社長に申し訳ない気持ちでいっぱいである。
今現在は出社を禁じられていて、会社側の弁護士からの連絡を待っている状況です。

このような場合はどうしたら良いのでしょうか?

すぐに弁護士に依頼して会社と交渉すると良いでしょう。
この様な場合は横領自体ではなく、支払いの方法、およびその額での交渉となります。
また、こういう所で弁護士の手腕が問われると言っても過言ではないでしょう。
告訴されずに示談成立し、不起訴に出来たり
告訴されたとしても示談を成立させ、不起訴に出来たりする場合があります。

18. 横領した社員等をクビ(懲戒解雇)出来る?

従業員(社員等)が会社の資産(金品等)を横領していた場合、会社の適切な対応はなんでしょうか。

実際、スーパーのレジ打ちや経理担当、バス・タクシーの運転手などお金に触れる機会が多く、やろうと思ってしまえば横領する事は簡単な場合が多いです。
しかし、横領が発覚した場合、従業員(社員等)がいくら謝罪や弁償をしたとしても処分無しというわけにはいかず、「懲戒解雇」や「損害賠償」などをしなければならないというケースが多くあります。
何故なら、簡単に出来てしまう横領の処分が軽かった場合、「この程度で済むのか」と従業員に思われてしまうからです。
また、横領した被害額の「弁償」を受ける時も、従業員が横領を認めなかったり、弁償を拒否して自ら退職してしまった場合などトラブルとなるケースが多いです。

19. 横領・着服が発覚後の懲戒解雇や損害賠償まで対応方法と流れ

この流れや行動内容、特に最初の動き、いわゆる「初動」を誤ると横領を否定されたり、ちゃんと処分出来なくなる可能性があります。
また、スピードと的確さが非常に重要ですので弁護士にアドバイスをもらいながら動いた方が賢明でしょう。

① 横領の有無の確定
まず、従業員が
・本当に横領したのか?
・いくら横領したのか?

この2点において、会社として確定する必要があります。
つまり、“何かしらの証拠”を押させていなければなりません。
典型的な横領だと
・防犯カメラ
・会計帳簿
・領収証の裏取り
・取引先へのアンケート    などから証拠が出てくる事があります。

ただ、緻密に計算されている悪質な横領では証拠を見つける事や実態を把握する事が困難なケースも多数あります。

そのため、的確な調査をスピーディーに進める必要があります。
その緻密に計算されているケースでは口裏を合わせていたり、免れる為の言い訳を準備していたりする為、横領を行った従業員に事情聴取する前に資料の精査、客観的な証拠の収集と、事前準備しておく事が重要です。
事前に資料を精査、客観的な証拠を準備出来ていれば事情聴取の横領した従業員の証言と客観的な証拠のズレを見つける事が出来ます。

20. 横領を行った従業員にまずすべき事は

横領が見つかったと思った従業員は証拠隠滅や従業員同士で口裏合わせをしようとしたり、取引先に出向き犯行をもみ消す手段をする可能性があります。
そうなると逃げ切られてしまう事があるので

「自宅待機命令」

を出しましょう。
これは、
・横領の再発防止
・証拠隠滅
・従業員との口裏合わせ
・取引先に出向き犯行をもみ消す行為

をされるのを防止する行為です

自宅待機命令中の賃金を支払うかどうかに関しては横領の違法性などから判断される事が多いです。

横領した従業員への事情聴取
上記しめした通り、事情聴取の前に資料の精査、証拠を整理します。
それと同時に横領した従業員に「自宅待機命令」を出します。

そして準備が整ったら日時と場所を決めて出社してもらうようにします。(会社とは限りません)

事情聴取の際の会話、発言は全て記録に残す様にしてください。
今後の大事な資料となります。

また、記録は録音とメモ(PC等に記録か手記)の両方が良いと思います。
そしてメモを取る人とは別に質問をする人がいた方がテンポよく話が進められますし、事情聴取とメモそれぞれに集中出来るので2人で行った方が良いでしょう。

また、質問事項は必ず事前に準備しておいてください。
質問は無理矢理横領をやったと言わせる訳ではなく、「真実を語ってもらう」もので、やってもいないのに強引に「横領しました」と言わせる様な事は避けた方が良いでしょう。

質問から引き出したい内容は以下になります。

市川船橋の弁護士 高橋 祐樹

・横領をしたかどうか

横領した事を認めた場合、

・「謝罪」「反省」「弁償」についての本人の意思
・横領をしてしまった日時や期間とその詳細な金額
・社内や取引先などに協力者の有無

を聞き出し、

必要であれば
・横領の際に持ち出した物品の有無(あれば返還の意思)
・横領の際に作成された書類の有無(あれば返還の意思と筆跡・捺印が誰のものか)

以上を事情聴取する必要があります。

事情聴取をする中で、少しでも罪を軽減しようとしたり、そもそも横領を否定しようとした場合、証言が矛盾する事は少なくありません。
深く聞いていった時に証言が二転三転したり、客観的な証拠や資料と矛盾しだした場合にすぐ指摘できる様に記録しておく事が重要です。
そしてそこまで準備していてもそれをくぐりぬける準備周到な悪質な横領もある事も頭に入れておいた方が良いと思います。

21. 横領を認めた従業員への責任追及

事情聴取の際、横領を認めた従業員に対して会社から責任追及をしていく場合、

① 会社内での責任(懲戒解雇など懲戒処分※)
② 民事上の責任(損害賠償請求等)
③ 刑事上の責任(業務上横領罪・背任罪)

22. 懲戒処分の種類

上記①の※懲戒処分 には以下の種類があります。
1. 戒告(かいこく)、譴責(けんせき)
2. 減給(げんきゅう)
3. 出勤停止(しゅっきんていし)
4. 降格(こうかく)
5. 諭旨解雇(ゆしかいこ)
6. 懲戒解雇(ちょうかいかいこ)

1→6に向けて処分が重くなります。
ちなみに、
「懲戒」とは=「不正・不当な行為に対して戒めの制裁を加える事」です。

1.  戒告(かいこく)、譴責(けんせき)

戒告(かいこく)と譴責(けんせき)はどちらも反省を求める目的で口頭もしくは文章により注意をする事。
戒告(かいこく)と譴責(けんせき)の違いは、

処分内容 意味 処分の重さ
戒告(かいこく) 口頭での注意 軽い
譴責(けんせき) 口頭注意と始末書など厳しくとがめること 重い

両方とも懲戒処分の中では軽い処分なので戒告などは就業規則に載せていない場合もあります。

2.  減給(げんきゅう)

読んで字のごとく給与を減らすわけですが、減給には労働基準法の規制があります。
好き勝手な思い付きの額を減給することは許されていません。(労働基準法91条、昭和23年9月20日基収1789号、昭和25年9月8日基収1338号)

労働基準法91条の内容を分かりやすく書くと、

1回の問題行動に対しての減給額は平均賃金の1日分の半額を超えてはならない。
ただし、就業規則でこれより少ない額を限度額としている場合いは就業規則に定めた限度額となりますが、複数回の問題行動があった場合など減給が複数回あった場合など1回の支払い期限の中で(月給なら1カ月以内に)減給額は10分の1以内でなければならなりません。
つまり、就業規則は会社のルールとはいえ、この1回の支払い期限内の減給額が10分の1以内という数字を超える事は法律違反となります。

ただし、遅刻や早退、欠勤はここで言う「減給」の対象とは別のもので、いわゆる「ノーワーク・ノーペイ」=働いて初めてその給与が発生する(賃金請求権が発生する)という原則に基づいているためこの10分の1の以内という制限はありません。

3.  出勤停止(しゅっきんていし)

(懲戒処分としての)出勤停止とは、労働契約は継続しつつ、服務規律違反(就業規則に反する行為等守るべきルールに反した場合)に対する制裁として一定期間、労働者の出勤・就労を禁止する処分の事です。
一般的な就労規則には出勤停止期間は「無給」、勤続年数にもカウントされない事が書かれています。

似ている措置として「自宅待機命令」があります。
これば懲戒処分ではなく業務命令で、懲戒処分に関する調査をしている際、証拠隠滅や取引先などへの口裏合わせに動かれるのを防ぐ為に一定期間出社させない措置の事です。(他にも出勤する事が不適当と会社が判断した場合に命じられる場合もある)
これは業務命令なので自宅待機命令中は「有給」である事が原則である事が懲戒処分の出勤停止との大きな違いでもあります。

※「懲戒」とは=「不正・不当な行為に対して戒めの制裁を加える事」です。

格(こうかく)

(懲戒処分としての)降格とは、服務規律違反(就業規則に反する行為等守るべきルールに反した場合)をした労働者に対する制裁として、役職、職位、職能資格等を引き下げる処分を言います。
就業規則上で懲戒事由に該当しなければならず、これがなければ懲戒処分としての降格にはならない。
また、懲戒権濫用(ちょうかいけんらんよう=懲戒する権利をむやみやたらに使う事)の有無について裁判所が審査されます(労働契約法15条)

※「懲戒」とは=「不正・不当な行為に対して戒めの制裁を加える事」です。

少し掘り下げると、「降格」には大きく分けて2つあります。
上記でもある「懲戒処分としての降格」と、「人事異動としての降格」があります。

・懲戒処分としての降格

 会社に不利益を生じさせた場合に罰として会社内の地位を下げることです。

例として、
・通勤中に痴漢をしてしまった為
・社内でセクハラ・パワハラをした
など 

 懲戒処分としての降格をするには就業規則に「就業規則の例」という様な処分理由(根拠)が書かれている必要があります。

ただ、懲戒の根拠があり、その処分に相当性がないと違法となる可能性があります。
同様の事例で降格処分がされたか、事例に対して降格という処分が重すぎないかといった点から適切な処分かを判断します。
また、手続きは就業規則に書かれたものに従わなければなりません。

 ・人事異動としての降格

 これは会社がもともともっている権利で降格させる事で、さらに2つに分かれます。

1. 解任(降職)
社員の職位(役職やポスト)を下げる事を言います。(部長→係長など)
ただ、給与の減額などに関しては必ず下がるという事ではなく、役職手当も含め社内の規定に基づきます。

 2. 降級(降格)

社内の機能資格(能力ごとのレベル・ランク分け)や給与等級(レベル・ランク別に給与を決めること)を下げることを言います。(5等級→3等級など)
降級の場合は機能資格や等級に準じて給与が減ってしまいます。

 人事異動としての降格は社会通念上著しく妥当性を欠いていないか、人事権濫用(じんじけんらんよう=人事を決める権利をむやみやたらに使う事)の有無について審査がされます。

しかし会社がある程度自由な裁量で行え、就業規則に書かれている必要なく、懲戒処分としての降格より法的にも認められやすい傾向があります。
ただ、賃金カットを行う場合は就業規則に記載する必要(つまり明確な根拠規定が必要という事)があり、かつ対象社員の同意が必要になります。 

違法になる可能性があるケースとして
・降格する業務上の理由がなく降格させようとしている場合など会社が権利を濫用(らんよう)しているような場合
・会社側が能力不足を補う措置として講習や研修などを行っていない
・過去の事例から見ても降職・降級処分が稀である
・あまりにも対象社員にとってあまりにも不利益が大きい
・賃金カットの対象社員の同意が無い
・賃金カットの内容が就業規則に記載がない

 これらは違法となる場合があります。

諭旨解雇(ゆしかいこ)

懲戒解雇に相当する事由があった場合の処分ではあるが、会社の酌量により懲戒解雇よりも処分を若干軽くした解雇の事。
雇い主側が強制的に下す処分ではなく、雇い主と従業員が話し合い、両者納得の上で解雇処分を受け入れるという概念がある。
つまり、従業員に対して一定期間内の退職届の提出を告げ、それに従った場合は「依願退職扱い」とし、提出されない場合は下記の「懲戒解雇」となる。
退職金に関しては懲戒解雇同様、一部または全額が支給されない場合があります。

諭旨とは=「言い聞かせる事、趣旨を諭し(さとし)告げる事」

懲戒解雇(ちょうかいかいこ)

※懲戒として行われる解雇で、懲戒処分の中で最も重い処分になります。
懲戒解雇は制裁罰として行われるため、「普通解雇」とは異なります。

【注意】
労働基準監督署長の除外認定を得ずに解雇予告や解雇予告手当の支払いをしないで解雇してしまうと労働基準法違反となります。(労働基準法20条1項ただし書、20条3項、19条2項)

懲戒解雇は退職金またはその一部が不支給になる場合が多いです。
ただ、退職金またはその一部を不支給にするためには就業規則や退職金規定等でその事について定めておく必要があります。
また、退職金またはその一部を不支給とする事が出来るのは長年の労働の価値を抹消・減殺するほどの背信行為があった場合のみに限られます。

※「懲戒」とは=「不正・不当な行為に対して戒めの制裁を加える事」です。 

横領・着服などで懲戒解雇されてしまったら 

懲戒解雇されてしまった場合、今後の就職活動の中で「懲戒解雇されたことがある」と言うと就職が困難な場合が多いです。
仮に嘘をついても懲戒歴がバレたらまた解雇される可能性も少なくありません。
「業務上横領」など、業務中に会社のお金を横領・着服する行為というのは非常にリスクが大きいと言えます。
そして業務上横領の罪の大小は金額の大小では判断しかねるところがあります。
「少額だから許してもらえる」とは思わない方が良いでしょう。
裁判例でみても少額の横領・着服で懲戒解雇になった例は少なくありません。
何より「業務上横領」は会社に対して信頼を裏切る行為。
普通に考えてみて、そんな人を雇いたいと思う人はあまりいないと思います。
最初は従順な従業員でもお金を目の前にしたら色々な事が頭をよぎり、犯行に及んでしまうかもしれません。
しかしそれは言い訳に過ぎず、非常に重く処罰される事が多いです。
特に経理担当者や金融関係の方はその事を留意しておく必要があると言えます。 

ただ、きちんと反省し、横領した金額を返済などすると懲戒解雇は免れるケースが裁判例をみてもございます。

 

懲戒解雇になるかならないかの判断材料は以下になります。
・平等の原則
同種同様の企業秩序違反に対して会社内では同等の処分がされている必要があります。
過去の事例を調べ、「懲戒処分」以下の処分であった場合、本案件で横領してしまった従業員だけ懲戒解雇というのは平等に反し、「懲戒解雇無効」となる可能性があります。

・適正手続きの原則
横領・着服行為に対して懲戒解雇をする場合は「適正な手続き」をする必要があります。
これは事件の悪性度に依存するものではありません。
また、この適正な手続きに従っていない場合は「不当解雇」となり違法です。
そして懲戒解雇を争って無効にできる可能性があります。
「適正な手順」
① 懲戒理由の確認
② 弁明の機会を与える
③ 懲戒(懲罰)委員会を開催する
④ 解雇予告の除外認定
⑤ 離職票を発行
⑥ 税金に関しての手続き
⑦ 最後の給与を支給してもらう
⑧ 退職金を支給してもらう
⑨ 解雇理由証明書を発行してもらう

 となります。

詳しく解説します。

① 懲戒理由の確認

「懲戒解雇が有効かどうか」を内部(社内)で判断、検討をする手続きを行います。
懲戒解雇とした場合、労働者側が労働審判、裁判などで争い懲戒解雇が無効や不当解雇とならない様にする為にも非常に重要なプロセスとなります。

② 弁明の機会を与える

会社の就業規則で労働組合と協議するという手続きを定めていたり、労働組合がない場合でも労働者の言い分を言う機会(弁明の機会)を与え、処分の判断材料とする必要があります。
これがない場合、裁判や労働審判で「懲戒解雇無効」と判決がでる可能性が高まります。

③ 懲戒(懲罰)委員会を開催する

 会社の代表の感情一つで解雇が決定しない様に「懲戒解雇の有用性」について懲戒(懲罰)委員会で決定する必要があります。

もちろん、こちらの手順を踏まないと「不当解雇」と判断される可能性が高いです。 

④ 解雇予告の除外認定

 労働基準法により懲戒解雇であっても原則30日前に解雇予告をするか、解雇予告手当を支払う必要があります。

この解雇予告手当を支払わなくても良くするには、「予告解雇の除外認定」を貰う必要があり、事前に労働基準監督署に「労働者の責めに帰すべき事由」があった事を申請し、許可を得ておく必要があります。 

⑤ 離職票を発行

懲戒解雇でも通常の退職(自主・合意退職)や普通解雇と同様に、会社は労働者に対して離職票を交付しなければなりません。
離職票は退職後に受け取れる失業保険を得る時にハローワークに提示する必要があります。
例え懲戒解雇であっても、一定期間(約3か月)の待機期間後にしか失業保険が取得でいない場合であっても同じです。
健康保険、厚生年金の資格喪失の手続きにも離職票が必要になります。
いかなる理由であれ、会社が離職票の発行に応じない場合は公的機関に相談しましょう。 

⑥ 税金に関しての手続き

 一定以上の給与の支払いがあるという事は税金の支払い義務(源泉徴収等)が発生するという事です。

その手続きも通常通り会社側が行わなくてはなりません。
懲戒解雇であったとしても、通常通り会社側が行います。
ちなみに、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は原則として給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなくてはなりません。(納期の特例を除く)

 また、住民税を会社の給与より差し引いて納付している場合、「住民税の特別徴収」を止める手続きが必要になります。

⑦ 最後の給与を支給してもらう

 労働者には働いた分の給与を受け取る権利があります。

これはいかなる問題を起こし懲戒解雇された場合でも同じです。
基本給は勿論、手当やインセンティブ、残業代など全て支払われなければ請求することが出来ます。
給与は退職後に労働者が請求すればその7日以内に支払わなければならないと労働基準法で定められています。
また、労働者の同意なく、問題を起こした事で会社側が被った被害・損害・違約金などを給与で相殺することは出来ません。
いかなる理由があろうと同意なく給与を満額支払ってもらえなければ労働審判や少額訴訟などで請求する事も出来ます。

⑧ 退職金を支給してもらう

懲戒解雇の場合、退職金がもらえないケースがあります。
逆に言うと、もらえるケースもあります。
退職金とはこれまでの功労に対する報酬なので、懲戒解雇の理由がその功労を傷つける様な事をしていないかで退職金の全部もしくは一部が支払われる場合があります。
また、中小企業退職金共済という所に掛け金を支払っていた場合、退職者本人が手続きをする事で退職金がもらえる場合があります。

⑨ 解雇理由証明書を発行してもらう

解雇理由証明書は次の就職先で提出を求められる場合があります。
また、解雇の理由が妥当かどうか。つまり、
・客観的かつ合理的理由での解雇か
・社会的相当性のある解雇か
を見極める意味でも解雇理由証明書を発行してもらう必要があります。
また、後から「これもあれも」といった、後付けがされがちなのが解雇理由の特徴です。
解雇が通告されてからすぐに口頭もしくは書面にて請求する事を推奨致します。

 また、労働基準法第20条 第1項では会社から解雇された労働者は会社に「解雇理由証明書」を請求する事が出来て、会社側は※遅滞なく交付しなければならないとされています。

請求に対して交付は義務になります。
つまり交付に応じないというのは法律違反になります。
※「遅滞なく」とは、遅くない時期という意味合いで、「直ちに」や「速やかに」という用語よりやや緩い表現になります。

また、「解雇理由証明書」には会社が
・雇用期間
・業務の種類
・その事業における地位
・賃金
・退職の理由(解雇であった場合は解雇する理由)
記載されてなければなりません。

例えば不当な解雇である事を主張する為に弁護士事務所に訪れた場合、この「解雇理由証明書」が必要になります。
会社側の主張が客観的にどうか、合理的か、社会的相当性があるかどうかを判断していきます。
そこで解雇の効力を争う余地の有無については「解雇理由証明書」が無くてはなりません。

 

23. 最後に

アトム市川船橋法律事務所 千葉支部では、豊富な実績から依頼者の利益を最大化すべく、迅速かつ丁寧な対応を致します。
また、横領・窃盗・着服・背任・解雇・労務などの事例も多く取り扱った経験もあり、依頼者様に安心してご依頼頂いております。
刑事事件や労務問題にかなり強い事務所となっております。
なにかお困りでしたらすぐに弁護士にご相談ください。

弁護士に相談するのは早いに越したことありません。

被害が出てしまったら少しでも被害を小さく、少しでも依頼者様にとって有利になる判決を得る為にも、依頼頂かなくても少しでも早く安心して頂けるよう、お早めの相談を推奨しております。

bowing_woman2